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 7月の声を聞くと、境内に咲く花もごく限られてきます。逆に、それだけ「有り難い」とも思える花たちです。


[紫陽花]

 紫 陽 花 

 梅雨の花といえば、紫陽花。額紫陽花から始まって、普通の紫陽花まで、長い間楽しめる花です。
 鐘楼の回りや本堂裏の宝蔵や万霊堂付近に、千株ほどが植わっています。

6月初頃〜7月初旬/境内各所

[沙羅]
 沙 羅 

 菩提樹は、お釈迦さまがこの木の樹下で悟りを開かれた聖木。
 沙羅は、長旅と病気で憔悴きったお釈迦さまが、弟子のアーナンダに、「さぁ、アーナンダよ。私のために2本並んだ沙羅の樹の間に、頭を北に向けて床を用意してくれ。アーナンダよ。私は疲れた。横になりたい」とおっしゃり、最期の説法の後、入寂された縁の木。
 この木も、インドのそれとは、似て非なるもの。インドの沙羅は、フタバガキ科の常緑高木で、学名 Shorea robusta。インド北部原産で、樹高30メートルに達する大きな木です。日本の沙羅は、学名 Stewartia pseudo-camellia。ツバキ科で、木の高さは10〜20メートルと、インドの沙羅には及びません。
 花が似ていたので、夏椿を沙羅と呼ぶようになったとのことですが、平家物語の時代からそう呼ばれているわけでしょうか…それとも平家物語の作者は、釈迦入滅の物語から「沙羅双樹の花の色 盛者必衰のことはりをあらはす」と書き、物語が有名になってから夏椿を「沙羅」と呼ぶようになったのでしょうか? そんな時代に、誰もインドの沙羅を見たことはないでしょうし…
 「沙羅」、ステキな響きの名前ですね。

6月10日頃〜下旬/本堂正面左


[菩提樹]

 菩 提 樹 

 真如堂の本堂の右手前にある大木、菩提樹。
 その昔インドにおいて、お釈迦様がこの木の下で悟りを開かれたという聖木ですが、インドのはクワ科の菩提樹。日本に多くあるのは、中国原産のシナノキ科。真如堂のもこの種類です。また、シューベルトの曲『菩提樹』などに見られるヨーロッパの菩提樹は西洋種で、花は白く、日本では稀にしか見られないとのことです。
 6月頃に浅黄色の香りのよい小花をつけ、そのあと6〜7ミリ程度の実をつけます。秋になるとこの実が、ちょうど実を重りにして、葉状の部分を回転翼にしたヘリコプターのように、風に漂いながらクルクルと回って落ちてきます。
 実のご利益はいろいろ言われていて、以前は「財布に入れるとお金が貯まる」だったのが、最近は「良縁」や「子宝に恵まれる」だの、「お十夜の結願の朝、誰にも見られないように拾うと子が授かる」など様々。寺の預かり知らないところでささやかれています。

6月10日頃〜1週間/本堂正面右

[モクゲンジ]
 栴檀葉の菩提樹(モクゲンジ) 

 吉祥院の門前に咲くモクゲンジ、別名 栴檀葉の菩提樹です。  ムクロジ科(モクゲンジ属)で、お正月に羽子板で羽根つきをする時の、無患子むくろじ(ムクロジ属)やレイシ(レイシ属)、フウセンカズラ(フウセンカズラ属)などとも親戚。
 モクゲンジは、花が終わった後、フウセンカズラに似た袋状の実をつけ、秋にはそれが熟して落ちてきます。
 袋の中に入っている実は、直径5ミリ弱。腕輪念珠ぐらいにはなるかも知れません。
 この木は、板東三十三所札所の笠森寺に由来するもの。ゆえあって、京都市左京区の「区民の誇りの木」に選定されています。

6月末〜7月上旬/吉祥院門前
  

[木槿(ムクゲ)]

木 槿(ムクゲ)

 夏の強い日差しの中に、ひときわ目を引く木槿(ムクゲ)の花。夏の境内はこれしかないという貴重な存在。1日しかもたない花ですが、切り花にしても素敵です。
 総門内の駐車場のあたりなどに、高さ1メートルほどの木槿10数種類、約20本が植わっています。
 中国原産で、韓国の国花ですね。

7月中頃〜9月中旬/総門付近など


[百日紅]
 百 日 紅 

 夏の照りつける日差しの中で、ただでさえ暑い夏をもっともっと暑くするのは赤い百日紅。百日紅には、白いものやピンクのもの、その両方が混じったものがありますが、やはり代表は赤い百日紅ですね。8月の声を聞くと咲き出します。
 もともとは中国原産で、江戸時代には日本に渡来していたということです。そういえば、なんとなく中国的ですね。
 毎年冬になると私も登って剪定をしますが、「サルスベリ」というぐらいですから幹はツルツルして登りにくく、ちょっと気をつかいます。

8月末〜9月中旬/三重塔付近