‘伏状台杉リベンジ登山’。40代の女性を加えて、4人の平均年齢はぎりぎり50代に下がりました。
昨日の雨とは打って変わった晴天・・・それは市内中心部、せいぜい鞍馬まででした。花背にいたると空は一転して鉛色に変わり、そのうち細かい雨が降り出しました。北山の天気は変わりやすく、雨は想定内だったので、予定通り登山を開始しました。
今日の予定は、まず片波源流域にある京都府自然環境保全地域の伏条台杉を見て、その後、井ノ口山の伏条台杉を見て、グルッと1周するようなルートで元に戻るというもの。詳しい地図などはないので、インターネットの山行記をもとに進むことにしました。 ただ、伏条台杉を見るだけならば林道を歩けばいいのですが、それでは面白くありません。とにかく‘登山’をしないと。
雨は時おり上がるかのようにみえましたが、結局、帰るまで降り続きました。それでも、カッパのズボンを着るほどの雨でもなし。日差しがなくて気温も上がらず、体力の消耗も少なかったのはかえって助かりました。
またもやほとんど道標のない道を、ネットの山行記をもとに手探り状態で進みました。それがなければ決して到達できないような、本当にわかりにくい道でした。
杉の葉の積み重なった谷を降りきったところで、平均年齢を下げている女性が足首の辺りを見て、「痛い!」と声を上げました。見ると、ヒルが靴下の上から噛みついていました。ヒルがいるのは聞いていましたが、本当に出てきました。すぐにヒルをつまんで取りました。小さいヒルでしたが、決して気持ちのいいものではありません。
川沿いの古びた林道を上がり、急斜面を登り切ると、台杉が見え始めました。「ワァー!」「こっちも、ウワァー!」と声を上げながら進むと、立派な道標が姿を見せました。京都府自然環境保全地域の自然観察路に入ったようです。やっとここまでたどり着いてホッとしました。
この辺りは、もともと「御杣御料」という御料林で、産出する木材は皇室で使用されたそうですが、明治維新後に民間に払い下げられ、1999年に「京都府自然環境保全地域」に指定されたそうです。
自然観察路をしばらく行くと、幹周15メートルほどの、この地域では最大とされている「平安杉」がたたずんでいました。しばらくはそれぞれが、「ウワァーーー」と惚れ惚れと見上げ、写真を撮ったり、触って杉のパワーをもらったりしました。
台杉の根元なら雨もかかりにくいので、そこに陣取って、それぞれのおかずを交換したりしながら、お昼を食べました。
観察路を出て、鍋谷山を経て井ノ口山に向かうべく林道を進みましたが、ネットの道案内通りにはいきません。林道工事が進んで、あたりの状態が変わってしまっていたのです。 林道脇の尾根に登山道があるはず。木に数カ所の赤いテープを見つけ、ボクが偵察隊として藪こぎをして登ろうとしましたが、テープはそこだけで終わり、踏み跡もないので道がわかりません。おまけに低木が雨で濡れているので、びしょ濡れ。女性たちには無理だと判断して、もと来た道を戻ることに決めました。
岩石に詳しいKさんの「臨時地学教室」を交えながら、林道を行って戻ること2時間余。またもや失敗。井ノ口山の伏条台杉は今回もお預けとなりました。
ヒルのいる谷をもう一度歩くかと思うとゾッとしますが、仕方ありません。辺りは薄暗くなった上に、Kさんは眼鏡の曇りと膝の痛みで、なかなか歩が進まなくなりました。Kさんを気遣いながら、早く抜けたいヒルの谷を、進んでは待ち、進んでは待ちを繰り返し、ようやく最後の峠に到達。そこで、やはり食いついていたヒルを互いに取り合い、最後の下り。
車のところにたどり着いたのは6時前でした。休憩を挟みながら8時間。暑くなかったのが救いでした。
帰ってから調べてみて、ルート選択の反省点がまたいくつも出てきました。「あそこでこうしていれば、みんなを井ノ口山に連れて行ってあげられたのに・・・あんなに長時間歩いてもらわなくてもよかったのに・・・」と思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
梅雨にはいるとヒルの活動がますます活発になるので、しばらくは行きたくありません。それまでに、またルート研究を重ねて、皆さんにストレスのない山行をさせてあげたいと思います。「第3次 真如堂伏条台杉探検隊」の派遣は、秋です。
目的の半分とはいえ、数百年にわたる風雪に耐えながら巨大な木になった伏条台杉にとり囲まれた景色は圧巻でした。杉の‘精’というよりは‘魂’というものがそこに生きている気がしました。
反省点は多々ありますが、楽しい山行でした。もう一度行くぞぉ!
〜 大きな「平安杉」/地学教室 〜
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2007年5月31日(木)
No.1418
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