知人との夕食に、寺町今出川界隈に行きました。
お店の住所は、「上京区真如堂前町」。真如堂が現在の場所に再建される前の約100年間、建っていた場所です。
秀吉公は聚楽第開発に伴い、寺院を移転させて集めました。現在の「寺町通」です。
それに伴って、天正15年(1587)に移転。その後、慶長9年(1604)、秀頼公は本堂を建立しますが、寛文元年(1661)に類焼。30年後再建されますが、3年後にまた類焼して灰燼に帰してしまいます。
「会食に先立ってぜひともこの地を散策してみたい」 そう思って早い目に自坊を出、御苑の「石薬師門」の前でタクシーを降りました。台風のもたらした断続的な雨は、もうほとんど上がっていました。
「石薬師門」 この名も、ボクの興味をそそります。真如堂のあるお堂には、石で作られた薬師如来がまつられ、「石薬師」と呼ばれているのです。
寺に残るその由来は、概略次のようです。 「平安遷都の頃、大地から光沢のある蓮華のツボミに似た大きな石が湧き出た。桓武天皇は、その石の上にお堂を建立され、石の頭で彫った薬師如来を安置された。時は下り、正親町天皇(1557〜1585在位)は、内府に命じて真如堂にこの石薬師を本尊として祀らせた。その後、石薬師は、元禄年間、他の堂宇とともに現在地に移された。」
現在、「真如堂前町」「真如堂突抜町」という町名が残るのは、この御門のすぐ前。
「石薬師門」という御門の名は、この地に石薬師をまつったお堂があったからと考えられないでしょうか。あるいは、そのために「石薬師通」という名前が付き、それに因んで御門の名前が付けられた……。
100メートル四方に過ぎないこの町内を、路地の中まで入ったりしながら2周しましたが、真如堂がこの地にあったということを物語るものは、残念ながら何もありませんでした。
でも、ほんの短時間ながら歴史のロマンや栄枯盛衰を感じながら歩いた時間は、とてもゆったりした感じがしました。
今日は歩いてもほとんど汗をかかず。最高気温は29.9度と、今月2度目の30度以下でした。
〜 寺町通から石薬師通を見る。西の突き当たりに御門 / 現在の地図 〜
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2004年7月31日(土)
No.340
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