11/5版
今日から、「お十夜(十日十夜別時念仏会)」が始まりました。 お十夜は真如堂を起源とする法要で、室町時代に始まりました。その後、主に浄土宗の寺院を中心に広がり、現在も10月か11月に行われています。 本堂の前には「回向柱」が建てられ、そこから白布の綱が本堂の中に向かって張られ、本堂の内陣からは五色の綱に変わって、その先はご本尊の左手に結ばれています(「縁の綱」「善の綱」)。この綱を持って願いをすれば、直接阿弥陀さまに届くということです。 例年だと、本堂の中に壇が設けられ、その上に台に吊した鉦が8丁並べられて、今日から15日の結願まで、「鉦講」と呼ばれる人たちが節の付いた念仏を唱えます。しかし、今年は「密」を避けるためにほとんどの行事は中止され、今日、ご本尊の扉を開ける法要が行われ、15日には結願法要が営まれて御閉帳になります。僧衆や稚児のお練りもなしという、とてもさみしい年になってしまいました。本当に残念です。 10月半ばに出た予想では、今年の紅葉の時期は平年並みということでしたが、樹種や木が生えている環境によっても大きく違っています。 境内の「花の木」などはもう見頃。もみじの中にもかなり色付きが進んでいるものがありますが、やはり見頃は11月末から12月にかけてとなるでしょう。 今のところは、綺麗な紅葉が見られそうな気がしますが、今後の気候によっては良くも悪くもなりますので、それはその時のお楽しみです。お天気によっても、見え具合は大きく変わりますので。 境内を訪れる人は、今はまばらです。緑〜黄〜赤といろいろな色がない交ぜになった今の景色も、かなりオススメです! 秋 の 雲 飛 天 の ご と く 流 れ ゆ く 野村美恵 「菊渓菊」は野生の菊で、かつて東山区の高台寺の山の「菊渓」に自生していましたが、今は絶えてしまい、京都府の絶滅危惧にも指定されています。別名「泡黄金菊(あわこがねぎく)」ともいいます。 高台寺付近の地名を「下河原」と呼びますが、その名は菊渓から流れる出る菊渓川と清水・音羽山からの轟川が合流したその辺りが川原であったことに由来します。菊渓川は東山から高台寺境内の北を西に流れ、円徳院などの塔頭群と町家貸地の境界を南北に流れ、轟川と合流して西へ進んで建仁寺境内を通って鴨川に注いでいたようです。今はほとんどが暗渠となっているため、川があったことはわかりません。料亭「菊乃井」の名も、菊渓川近くの 「菊水の井」に由来すると聞きます。 中国や韓国産の同じような菊が道路工事の法面緑化のために使われて定着したため、いま見られるほとんどは外来種です。でも、吉祥院のは正真正銘の菊渓菊(泡黄金菊) のようです。 千両や南天の実も綺麗に色付きました。7日は立冬です。 行 人 に か ゝ は り 薄 き 野 菊 か な 星野立子 | |||
|