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      芽吹きの季節到来! / 蕊だらけになってきた桜の梢 マウスを載せれば写真が変わります
 冬の残党が「このまますんなり春にはさせるものか!」とあがいているような空模様で、北風が強く、朝早くには少し時雨れたり、晴れたり曇ったりの繰り返しでした。気温も15度に達しなくて、体感的にはちょっと寒く感じました。
 境内は、桜から新緑へ。
 開花情報の何分咲きというのに模していえば、八分散りといったところでしょうか。桜吹雪もピークを過ぎて、わずかに残っている花びらが時おり風に舞っています。「この花びら、どこから飛んで来たんだろう?」と驚くほど、遠くまで旅をするものですね。
 梢に残った蕊が、ポツリポツリと落ち始めました。もうしばらくすると、木の下は蕊だらけになります。
 その地面には、羽根の付いた蟻が数え切れないほど飛び回っていて、石畳の石と石の間を掘って巣を作っています。これからしばらくの間の光景です。


          季節が変わった実感が漂う境内     マウスを載せれば写真が変わります
 染井吉野はクローンですから、違う木でも‘動き’はほぼ同じですが、もみじは同じ山もみじでもそれぞれDNAが違うので個体差があり、芽吹きの様子も違っています。
 もみじの木は毎年数本が枯れますが、その後に植木屋さんが大きくなった株を持って来て植える場合もありますし、「枯れそうだなぁ〜」というのは数年前からわかりますので、あらかじめ小さいもみじを脇に植えておく場合もあります。自坊には、そのために育てている実生苗のストックが10本以上ありますので、少し大きくなったら、それを使います。
 実生苗はいろいろな木のDNAが交雑していますので、またそこで他とは少し違った性質のもみじができることもあるわけです。もちろん、当たりはずれはありますが。
 今は桜の蕊の赤、もみじの花の赤、もみじの芽吹きの時のちょっと濁った黄緑色など、いろいろな色がない交ぜになった複雑な色の境内になっています。これからしばらくは境内の様子が急ピッチで変わってくので、目が離せません。実に発見の多い、楽しい毎日です。




       風  光  る  石  を  出  ら  れ  ぬ  野  仏  に     復本冬一郎





           垂れ下がる関山の花 / 青花シャガ  マウスを載せれば写真が変わります
 鐘楼の周りでは、ピンク色の八重咲きの桜「関山」が咲き始めました。よく見かける八重桜ですが、花びらが25枚ほど、時には40枚を超す場合もあるようで、たくさんの花が集って咲くために重たく、枝が垂れ下がってしまっています。 咲いている時も豪華ですが、散っている時の樹下もピンク色の敷物を敷いたようで、何とも綺麗です。
 椿、馬酔木、山吹、連翹、シャガ、レンゲなどが咲いていています。
 自坊の庭では、青いシャガが咲いています。「中国 青花シャガ」という何の工夫もない名前で、数年前に買い求めたものを株分けして少しずつ増やしています。シャガ同様に繁殖力が旺盛なので簡単に増えてくれますが、門の外に植えるとすぐに盗られてしまうので、まだ外には出せません。欲しい方には分けて差し上げますので、お知らせください。
 まだ当分は‘3密’を避けた行動が求められます。でも、せっかくの春ですから、お近くを散策などなさって、息抜きをなさってくださいね。
 引き続き、くれぐれもご用心ください。




       重  た  げ  に  風  の  中  な  る  八  重  桜     白石時子