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      晴れたり時雨れたりの冬らしい日でした / 本堂裏より マウスを載せれば写真が変わります
 青空が出たり、雲に覆われたり、時雨れたりの、定まらない空模様の日でした。朝の気温は6度で、11度まで上がりました。風もないので、それほど寒くはありませんでした。
 境内はひっそり静まりかえっていて、人影はほとんどありません。明日からは連休になりますが、お正月で移動された方も多く、明日はどの観光地もひっそりしているかも知れません。
 本堂の裏では、最後の落ち葉掃除が行われています。その落ち葉がなくなったら、境内から落ち葉の姿はなくなります。
 木々はすっかり葉を落としていて、見通しのきく冬景色に包まれます。


          裸木の向こうにそびえる三重塔     マウスを載せれば写真が変わります
 この冬は、境内ではまだ1度も雪がちらついていません。場所によっては2回ほど氷が張りましたが、京都地方気象台ではまだ一度も氷点下を記録していません。
 去年の平均気温は、観測史上最も高かったそうですが、今年になってもまだその流れの中にあるのでしょう。
 京都の「底冷え」はよく知られていて、寒さに慣れている北海道の方でも、「京都の寒さは質が違う」と仰ることがあります。盆地特有の冷え方なのでしょう。
 気象庁の統計によると、明治、大正時代の京都では、最低気温が0度を下回る冬日が年100日を超える年も珍しくなかったそうで、1901年は113日と、1年の3分の1近くが冬日だったそうですが、冬日はだんだん減って、2019年までの10年間の年平均日数は20.1日。10年間当たり7.1日の割合で減っていて、19年は3日だけ。この100年間で実に20分の1になったそうです。
 京都の伝統産業や食べ物は、「底冷え」するからこそ成り立っている側面もあります。寒さが京文化を創り出す一つの要因だとも言えるでしょう。
 農家の方は、「寒さを耐えた野菜は引き締まるが、近年は本来のおいしさが薄まっている」とも仰いますし、今まで姿を見せなかった南方系の害虫も増えています。これは京都を取り囲む山々の景観にも影響を及ぼしています。
 温暖化は、もちろん紅葉にも影響を及ぼしますし、南方系の害虫は木々の健康にも大敵です。顕わになった冬木の姿を見ていると、先行きが心配で仕方ありません。




      裸 木 の は る か に 雲 を 恋 ふ る か な     青柳志解樹





          満開の十月桜 / 屋根と寒椿      マウスを載せれば写真が変わります
 自坊では、「十月桜」が満開です。その名の通り、10月頃から咲き始めて、春までほぼずっと咲き続け、4月頃になるとそれまでよりも大きな花を咲かせます。
 この木を植えてからもう30年ほどになりますが、今の時期にこんなにたくさん咲いているのを見たことがありません。花は例年通り小さいですが、数はずば抜けて多いです。色も濃い気がします。これも一つの異変かも知れません。
 寒椿が例年通り咲いているのを見ると、ホッとします。冬に赤い花はうれしく感じます。
 今の境内の一番の見所は、花では鐘楼周りの水仙です。こぢんまりと咲いているだけですが、年々、株数が増えて密になって来ています。日当たりの良くない場所でも育つものをと思って選んだ水仙ですが、思いの外よく咲いてくれるので喜んでいます。
 雪で花軸が折れてしまわないので、雪が降らないのは水仙にとっては好都合です。それぞれ、都合の善し悪しがあるでしょうが、例年通りが一番平穏です。
 暖冬といっても、これから春分にかけてが1年で一番寒い時期です。ご自愛ください。




       息  細  く  吐  き  て  十  月  桜  か  な      富田花舟