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紅葉期の喧噪が嘘のような、静まりかえった境内。出会う人は、落ち葉掃除に忙しい職員か、紅葉期を避けて仕事を始めた石屋さんや大工さん。それ以外の人影はほとんど見られません。 いつもの真如堂が戻ってきました。 嵯峨野や大原のお寺の人の話では、今年は訪れる人が減ったそうです。外国人が増えて日本人が減るのが、最近の京都観光の傾向です。 京都市内の観光地も閑散としています。お正月前までは、訪れる人も小休止でしょう。「それでは困る」とあの手この手で人を呼び込もうと、年明け早々には非公開文化財の特別公開なども始まります。
木々の梢にわずかに残る葉も大方は茶色く縮れ、風が吹くとサァーッと散ります。一気に散ってくれると掃除が楽なのですが、木にもそれぞれ個性があり、サッと散る木もあれば、いつまでも葉っぱがしがみついている木もあります。そんな様子を見ているのも、また楽しいものです。 紅葉の盛りももちろん綺麗ですが、咲き始めた山茶花や水仙に出会う楽しみもある今のほうが、趣があるかも知れません。 冬 紅 葉 冬 の ひ か り を あ つ め け り 久保田万太郎
同じもみじでも、品種によっても枝振りが違いますし、若木と古木とでも枝振りや勢いが違います。桜も、老いてくるとてんぐ巣病などが目立ってきます。冬は、木々の健康診断にも大切な時期です。 葉っぱに邪魔されずに鳥影が見られる冬は、バードウォッチングにはもってこいの季 節でしょう。毎年双眼鏡を持ってお越しになる愛鳥家の方の姿も、見かけるようになりました。木も、鳥も、人も、季節に合わせて‘モデルチェンジ’です。 これからまだしばらくは落ち葉が続きます。梢に付いたもみじの種も、少しずつ落ちてきます。落ちたら掃き、また落ちたら掃きの年末の境内です(実際はブロアで‘吹き’です)。 す ん な り と 裸 木 に な り す ま し け り 落合水尾 |