12/20版 




      落葉しきった自坊前 / 広くなったような正面参道  マウスを載せれば写真が変わります
 寒さの弛んだ日が続いています。今朝の最低気温は7度。最高は13度ほどでしたが、日が差していたので、視覚的には気温よりも温かく感じられました。
 紅葉期の喧噪が嘘のような、静まりかえった境内。出会う人は、落ち葉掃除に忙しい職員か、紅葉期を避けて仕事を始めた石屋さんや大工さん。それ以外の人影はほとんど見られません。
 いつもの真如堂が戻ってきました。
 嵯峨野や大原のお寺の人の話では、今年は訪れる人が減ったそうです。外国人が増えて日本人が減るのが、最近の京都観光の傾向です。
 京都市内の観光地も閑散としています。お正月前までは、訪れる人も小休止でしょう。「それでは困る」とあの手この手で人を呼び込もうと、年明け早々には非公開文化財の特別公開なども始まります。


        2%の紅葉 / 敷き紅葉と白山茶花      マウスを載せれば写真が変わります
 境内の紅葉は98%ぐらい終わりました。残る2%も、茶色がかった赤色で、もうあまり綺麗ではありません。無理もありません、もう12月も2/3が過ぎ、明後日は冬至なのですから。
 木々の梢にわずかに残る葉も大方は茶色く縮れ、風が吹くとサァーッと散ります。一気に散ってくれると掃除が楽なのですが、木にもそれぞれ個性があり、サッと散る木もあれば、いつまでも葉っぱがしがみついている木もあります。そんな様子を見ているのも、また楽しいものです。
 紅葉の盛りももちろん綺麗ですが、咲き始めた山茶花や水仙に出会う楽しみもある今のほうが、趣があるかも知れません。




     冬  紅  葉   冬  の  ひ  か  り  を  あ  つ  め  け  り    久保田万太郎





    まっすぐやらクネクネやら / いっぱい付いたもみじの種 マウスを載せれば写真が変わります
 葉っぱが落ちると、今まで見えなかった景色が現れます。個性溢れる木々の枝振りも楽しめます。
 同じもみじでも、品種によっても枝振りが違いますし、若木と古木とでも枝振りや勢いが違います。桜も、老いてくるとてんぐ巣病などが目立ってきます。冬は、木々の健康診断にも大切な時期です。
 葉っぱに邪魔されずに鳥影が見られる冬は、バードウォッチングにはもってこいの季 節でしょう。毎年双眼鏡を持ってお越しになる愛鳥家の方の姿も、見かけるようになりました。木も、鳥も、人も、季節に合わせて‘モデルチェンジ’です。
 これからまだしばらくは落ち葉が続きます。梢に付いたもみじの種も、少しずつ落ちてきます。落ちたら掃き、また落ちたら掃きの年末の境内です(実際はブロアで‘吹き’です)。




     す ん な り と 裸 木 に な り す ま し け り     落合水尾