7/26版 




           夏の陽が照りつける境内      マウスを載せれば写真が変わります
 近畿地方は、平年よりも3日遅い24日に梅雨明けした模様です。気温もその日から、昨日、今日と、35度前後の猛暑日が続いています。また、23日から3日間は、夕方になると土砂降りの雨が降って、警報が出たりしています。
 「梅雨明け三日」などといって、梅雨明け後三日間は、お天気が安定していて晴れが続くと言われることがありますが、真逆です。おまけに、明日は台風崩れの低気圧の影響で雨の予報。月曜日頃から、連日35度を超える真夏がやってきそうです。
 雨も有り難いですが、お日様も有り難いですねぇ。あちこちジメジメしているので、一度カラッと乾いて欲しいです。


        自坊の蓮の花 / 鮮やかな色の桧扇の花   マウスを載せれば写真が変わります
 境内も雨続きで、まだジメジメしていて、水が浸みだしてチョロチョロと流れているところもあります。今日も気温が高くて蒸し暑く、快適な夏日とはほど遠いです。それでも、街中と比べると境内は涼しく、蚊さえいなければ、緑陰は心地よいです。
 木槿がいまも盛りで、毎日、次々と花を咲かせています。ご覧になるのなら、朝のうちが花も元気で綺麗でしょう。
 自坊では、蓮の花が少しずつ咲いています。今咲いているのは、先週とはまた違った種類で、赤っぽい花。今日が2日目です。
 近所にも、蓮を育てているお寺があったりしますので、住職と会うと、蓮の情報交換をしています。大がかりに何十鉢も育てているお寺は栽培を業者委託しているのだとか、肥料を施してもメダカに影響はないかとか、話題は尽きません。
 まだ次々と蕾が上がってきますので、しばらくは楽しめそうです。
 自坊の中では、桧扇(ひおうぎ)の花も咲いています。葉っぱが、桧で作った扇を広げたような姿であるのが名前の由来ですが、黒い種は射干玉(ぬばたま)と呼ばれ、和歌の枕詞「ぬばたまの」は、この種の色に由来するとも言われています。
 今月末まで、京都では祇園祭が行われていますが、この期間中は、家の床の間や玄関に桧扇を飾ります。‘道具'の桧扇が悪霊退散の儀式などに用いられたことから、怨霊の怒りを鎮めるために始められた祇園祭の‘花'として、花の桧扇を飾るわけです。
 この桧扇はとても堅くて剣山などに刺しにくく、よく転けているのを目にします。飾る意味を考えると、転けてもらっては困りますねぇ。




       梅 雨 明 け や 深 き 木 の 香 も 日 の 匂      林  翔





       絵巻に見入る拝観者 / 順不同に吊された掛軸  マウスを載せれば写真が変わります
 毎年7月25日は、真如堂恒例の「虫干し」。普段は土蔵に仕舞ってある掛け軸などを本堂に吊し、土用の風を通して虫を払う「宝物虫払会」です。
 土蔵からの宝物の出し入れや掛け軸などを吊したり収納したりする作業が大変なので、「雨で中止にならないかなぁ」と密かに期待していましたが、薄曇りのお天気でした。
 7時に僧衆たちが集合して、土蔵からの宝物の入った長持を搬出し、掛け軸などを順不同に本堂に吊して、9時から一般に公開します。
 「虫干し」が主目的なので、親切に「見せる」ようにはなっていません。吊す場所は毎年変わりますし、どういう掛け軸かは、吊された下に置いてある箱に書かれた文字を自分で見ていただくだけで説明はありません。おそらく平安時代の作品と思われるものや重要文化財指定のものから‘二束三文'のものまで玉石混淆です。
 大学や行政の調査チームも来て詳しく調べたり、作品よりも季節感を味わおうという方、古美術マニアのようなかたまで、来る方も様々。こちらも、積極的には説明をしないで、聞かれたときだけ応えるという感じで、3時まで過ごしました。
 気温は35.6度まで上がったようですが、本堂の中はそれほど暑くはなく、虫干し日和の佳き日でした。
 3時から片付けを始め、ちゃんと作品が揃っているか台帳と現品を照らし合わせながら長持に収納して、再び土蔵に納めました。
 最後の長持を運んでいるタイミングで、雨がパラパラ降り始め、ぎりぎりセーフ。5時頃には警報が出るほどの土砂降りとなりました。
 この行事が終わると、いよいよ夏本番。酷暑の季節の到来です。




      虫  干  や  絵  巻  ほ  ど  け  ば  姫  の  髪     中村堯子