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         薄青空の境内 / 色濃くなったもみじ   マウスを載せれば写真が変わります
 蒸し暑い日となりました。最高気温は31.1度。30度を超えるのは6月4日以来、今月に入って2回目です。
 カァーッと照りつける真夏の太陽と比べれば、まだ控え目な陽射しですが、お昼過ぎは日向にいるのが辛く感じられるほどでした。
 明日が雨になるからでしょうか、平日にしては訪れる人が少し多かったような気がします。といっても、ポツリ・・・ポツリ・・・ですが。
 最近お越しになる方から、「青もみじがいいですねぇ」という声を、よくお聞きします。確かにいいですが・・・。青もみじというには、もうずいぶん色が濃くなってしまっていますし、若いもみじゆえのしなやかさも薄れています。毎日ずっと見ているボクからすれば、もう‘限界’なのですが・・・。「いいですねぇ」と言われても、「はぁ」と気のない返事に、ついなってしまいます。




     梅  雨  晴  の   風  の  ま  つ  は  る  鬼  瓦        鈴木昌江






      静かに咲く沙羅の花 / 選別をパスした菩提樹の実  マウスを載せれば写真が変わります
 本堂の前の沙羅の花が、毎日よく咲いています。
 「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす」という、あまりにも有名な『平家物語』書き出しですが、沙羅の花は朝咲いて夕方には散るとはいえ、白色から変わることはありません。「盛者必衰の理をあらはす」という花の色とは?
 お釈迦さまは、「二本並んだ沙羅の樹の下に、頭を北にして床を設けてくれ。私は疲れた。横になりたい」と仰って、弟子たちに最後の説法をされた後、入寂されました。涅槃図には、沙羅が2本(双樹)ずつ、東西南北で合計8本描かれていますが、釈迦の入滅に際しては2本のうちのそれぞれ1本が白く枯れ、残りの4本は栄えるように咲いたと言われています。『平家物語』このことを言っているのでしょうね。
 この時の沙羅と、日本で「沙羅」と呼んでいる木は、まるで違います。日本の沙羅は、日本人の感性が選んだ花なのです。
 菩提樹も然り。インドと日本では、植物分類の科目からして違う木です。
 その日本の菩提樹も、今月初めには満開となっていましたが、いまはすべて結実して、鈴なりの実を付けています。数日前から、なりすぎた実が葉(苞)と共に落ちてきて、木の下は落ち葉だらけになっています。これも、お決まりの景色です。



             本堂裏の紫陽花園      マウスを載せれば写真が変わります
 紫陽花も、そろそろ折り返し点です。山紫陽花はほぼ終わったので、昨日から剪定作業を始めました。
 その他の紫陽花も、早咲きのものの中には、もう終わりを迎えているものもあります。逆に、まだ蕾の遅咲きのものもあります。
 全体的に見ると、‘今が盛り’でしょう。
 宝蔵裏の紫陽花園を、今年はずいぶんたくさんの方が来てくださるのに驚かされます。ネットなどでご覧になってわざわざ来てくださる方、知らずに来られた方、散策の途中、写真を撮りになどいろいろですが、少し前には予想もしなかったことです。
 というのも、つい8年ほど前まで、この場所は焼却灰や落ち葉などの捨て場所で、鬱蒼としていて、人が足を踏み入れるような場所ではありませんでした。宝蔵のためによくないと大きなエノキを伐採し、桧の枝打ちをして少し明るくなったことから、少々の日陰でも花が咲き、早く‘結果’が得られる紫陽花を植えることを発案。すでに鐘楼の周りで小さな紫陽花園を作っていたので、ノウハウはありました。

     様々な色や形の紫陽花 / あっさりもいい自坊の紫陽花 マウスを載せれば写真が変わります
 境内の防災工事で出た土をこの場所に運んで、重機で整地して貰ったりと、うまくタイミングが合いました。
 紫陽花はあちこちで挿し穂をもらったり、要らない株を引き受けたりして、品種もどんどん増えました。買ったものはほとんどありません。多くの方のお力を得て、今日の姿になりました。
 紫陽花園で剪定をしていると、「以前からありましたか?」と聞かれることがありますが、やり始めてからまだ8年しか経っていないのです。日陰でも咲いて、早く‘結果’が得られる、正にその通りになりました。
 いわば‘寄せ集め’の紫陽花園ですから、色も形も様々。「私はこっちが好き!」「これもいいわぁ」と皆さんに喜んでいただいています。もちろん、無料ですし。
 これからは、時間を作っては紫陽花園で剪定をする日々になりそうです。
 お近くの方は、ぜひお立ちよりください!




      子  が  睡  り  入  る  紫  陽  花  の  中  の  海      高野ムツオ