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    桜花と若葉もみじの正面参道 / 鐘楼脇の観音像と桜  マウスを載せれば写真が変わります
 江戸中期の俳人 大島蓼太に、「世の中は三日見ぬ間に桜かな」という句がありますが、本当にその通り。驚くほどのスピードで桜が開花し、あっという間に満開になりました。もう、どこへ行っても桜、桜、桜。それを見る人がどこからともなく溢れてきて、どこへ行っても人と車。気温も昨日には早くも夏日となって、昼間は暑いぐらいです。
 「平年通り」という当初の開花予想は見事に外れました。桜の花芽は、冬に寒さを経験しないと目覚めませんが、今冬は‘順調に’寒かったので花芽も順調に目覚め、その後に一時的にあたたかくなったことで花芽が生長して、一気に開花に向かったようです。
 ちょうど見頃に晴れの日が続くのは有り難いですが、一気に開花して、早足で散っていきそうなのが残念ですね。


    「縦皮桜」は江戸彼岸系 / 枝垂れ桜も江戸彼岸系  マウスを載せれば写真が変わります
 染井吉野という桜が生まれる前は、今のようにどこも彼処も一斉に桜が見頃になるという風景ではなかったといいます。様々な山桜や江戸彼岸など、いろいろな個性のある種から育った桜は、もう少し時間差をもって咲いていたようです。ところが、‘クローン’染井吉野が生まれてからは、同じような条件の下ならば一斉に咲いてしまうようになって、今のような光景になりました。
 一気に咲いてパッと散っていくのは見応えがありますが、「咲いた、咲いた」と騒いで終わってしまうようで、なんだか風情に欠ける気もします。
 ボクは個人的には、染井吉野よりも、他の桜のほうが好きです。「あの桜が咲いた」「あっ、こっちも咲いた!」と、一本一本を楽しみたいです。




    満  開  の  桜  の  上  に  空  の  あ  り       片山由美子






          一気に萌え始めたもみじ / もみじの花  マウスを載せれば写真が変わります
 桜にばかり気をとられているうちに、もみじも芽吹き始めました。そして、葉っぱが開き切らないうちから、もう花を咲かせています。
 黄緑色の開き切らない葉っぱの中に、紅く小さい花が咲いているので、遠目にはあまりきれいな色には見えません。でも、梢に近付くと、葉と花がよくわかって、なんて可愛いのだろうと思います。
 あいにく、この紅く小さいのがもみじの花だということをご存じない方も多いのですが、桜にばかり気を取られていないで、もみじの梢をご覧になって、ぜひ春を感じてください。
 もみじの葉っぱは、これからどんどん大きくなって、色も変わっていきます。お楽しみくださ〜い!


        山吹と枝垂れ桜 / 咲き始めたレンゲ    マウスを載せれば写真が変わります
 境内に咲く花の数がまた増えてきました。
 馬酔木、椿、連翹なども見頃を迎え、シャガも咲き始めました。山吹も日当たりのいい場所では開花し始めましたし、自坊の前ではレンゲの花が咲き始めました。境内全体も「三日見ぬ間に」のような展開です。
 自坊の前のレンゲは、これからどんどん咲いていって、見頃にはその一角の色が変わるほどです。
 自然に咲いていると思っている方もおられますが、毎秋に結構高価な種を買って蒔いているのです。秋に蒔かないと春に花を咲かせてくれません。
 せっかく綺麗に咲くのですが、毎年必ずといっていいほど、その中に立ち入って花を踏んづけてしまう人がいます。ロープの柵を乗り越えてしまうのは、子供ではなく、だいたいが‘妙齢’のご婦人です。「わぁー、懐かしいわぁ。子供の頃にはこれで首飾りを作ったのよ」と花を摘む人もいて、もう困り切ってしまいます。注意すると逆ギレする人もいますし・・・。
 たくさんの花が咲くようになると、花泥棒やそんな人たちも増えてきて、ちょっと困ります。マナー良く、存分に楽しんでいただきたいです!
 来週の土日は、桜ももうかなり散ってしまいます。お花見はお早めに!!




     背 の び し て 羽 ふ る は せ て う ぐ ひ す の        瀧井孝作