3/10版 




         晴れ渡る正面参道 / 朝日に照らされた塔  マウスを載せれば写真が変わります
 お昼前から快晴となり、陽の当たるところにいると、ポカポカとすっかり春の盛りのようでした。
 でも、室内は結構ヒンヤリ。あたたかい陽射しに惑わされて、気温も上がっているのだろうと思い込んでいましたが、最高気温は9.9度止まり。ちょっとビックリでした。
 境内の様子は先週と大きく変わっていませんが、人の姿が段々と増えてきました。大涅槃図が特別公開されているためでしょう。
 京都を訪れる観光客も増えてきましたが、親子連れも目立つようになってきました。今春から京都の大学に通う人とその親が、学生マンションなどを探したり、新生活に必要な物をホームセンターで買い求めるために訪れているのです。京都は学生の町で、人口10万人当たりの大学数は京都府が全国1位。人口100人あたり、5.35人が大学生です。
 町も春の気配、そろそろ草木も一気に動き出し始めるでしょう。




    春  光  や  こ  ぼ  れ  て  は  づ  む  金  米  糖        龍野よし絵






       一気に見頃の山茱萸 / 見頃の長い馬酔木    マウスを載せれば写真が変わります
 あっという間に、本堂裏の山茱萸が見頃になりました。まるで、温かくなるのを今か今かと待ちかねていたかのようです。今年は梅の開花が遅れていたので、山茱萸も遅いと思っていたのですが、一気に取り戻したかのようです。去年よりは早く、一昨年よりは遅い咲き具合です。
 この花が咲くとお彼岸がやってきます。でも、彼岸の入りまではまだ1週間あります。この分では、彼岸の中日の頃には、満開を過ぎているかも知れません。
 馬酔木は盛りまでもう少しです。この木は花期が長いので、まだ当分は楽しめます。桜のお花見の時に、ぜひご覧ください。桜を見た後では、ちょっと物足りないかも知れません。
 椿も少しずつ花数が増えてきました。水仙は絶好調です。紫陽花も新芽がほころび始めました。これからは、変化のスピードが速くなっていきますよ!


        いのちを終えた白梅 / 白梅をバックに地蔵尊  マウスを載せれば写真が変わります
 昨日、墓地のほうからチェーンソーの音が聞こえてきていました。樹齢100年を優に超す梅の木を伐採する作業の音でした。梅の木はちょうど満開。それが切られていくのを見るのは辛いので、作業中は見に行きませんでした。
 この梅の木は、無縁墓を高く積み上げた塔の裏側の、切り通しの道の上に生えています。この切り通しの崖が昨秋に雨で一部崩落し、下の道を半分塞いでしまいました。隣寺の生活道路であり、墓参の方の車も通るので、先月から新たな石垣を積む工事を始めました。その石垣のちょうど上部に、その梅の木が掛かることは最初からわかっていて、「何とかならないかなぁ・・・勿体ないなぁ」と思っていましたが、梅を温存しておいては石垣にいい影響を与えません。仕方なく、切ることになってしまいました。
 すべての作業が終わった夕方に見に行きましたが、なんだか景色が一変してしまいました。無縁墓を積み上げた塔の上には地蔵尊が祀られていますが、昨日朝までは白い梅の花をバックにして、お地蔵さんもとても嬉しそうでした。
 チェーンソーで荒々しく斜めにカットされた楕円形の切り口は、短い方で30センチ、長い方で50センチもあり、幹の中は枯れたり虚になったりすることもなく、みずみずしく、力強い存在感を放っていました。
 真冬の花も葉もない状態ならまだしも、花の盛りに切られることになるなんて・・・せめて記録に残そうと、写真をたくさん撮りました。




     黄  昏  の  白  梅  過  去  と  な  つ  て  ゐ  し        角谷昌子