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  本堂前に延びる善の綱 / 緑と赤のない交ぜもまだこんなに綺麗! マウスを載せれば写真が変わります
 寒い朝となりました。境内での最低気温は6度以下と、今年一番の冷え込みでした。でも、その後はずっと快晴で、気温も18度越える小春日和となりました。
 本堂の前には太い回向柱が立ち、そこにむけて本堂の中から白い布紐が伸びています。「善の綱(縁の綱)」と呼ばれるこの紐の先は、本堂の御厨子の中の御本尊阿弥陀如来の御手に結ばれています。
 11月5日から15日に掛けて行われる「お十夜(十日十夜別時念仏会)」の間は御本尊も開帳され、15日には御本尊のすぐ前でお参りいただくことができます。お十夜の季節がやってくると、紅葉も進んできます。
 今日は、お天気に誘われて、境内にもたくさんの人が朝早くから訪れています。
 人の数は日に日に増えて、明日、明後日はまたさらに多くの人がお越しになるでしょう。いよいよ秋の紅葉シーズンも盛りに入ってきます。京都に住んでいる者にとっては、道などが混雑して日常生活にも支障が出てくる‘大変な季節’の到来です。



     十  夜  鉦  障  子  灯  る  を  待  ち  か  ね  て      草間時彦





    正面参道から見上げる塔 / 塔は絵になるなぁ〜   マウスを載せれば写真が変わります
 紅葉はかなり進みました。今年は早いとは思っていましたが、予想以上です。
 でも、平均的に紅葉が進んでいるというよりは、早い木は一気に見頃を迎えたものの、例年通りの色付き方という木もあります。比較的限られた場所にある木が色付きが早いので、細かい気候の変化が一様ではない紅葉の進み方を演出しているのかも知れません。
 色合いから見ると、まだ少し黒ずんでいたり、あるいは一気に枯れたように茶色くなったりと、紅葉している木でも‘盛り’とはいえない気がしますが、日の光を透かして見ると十分きれいです。
 光が当たって、遠目に見ても真っ赤に見える木には人が群がっています。みな同じ方向にカメラやスマホを向けて、まるで撮影会のようです。これからは、人の姿の写り込まない写真を撮るのが難しくなってきそうです。


     綺麗ですが、右のもみじは不調 / 落ち葉頻り   マウスを載せれば写真が変わります
 本堂前の「花の木」が、もうすっかり葉を落としてしまいました。他に20本ほどある同種の木も、もう盛りを過ぎて、毎日たくさんの葉を散らしています。今年は「わぁー、きれい!」という瞬間が少なかった花の木です。
 桜の木も、もう大半の葉を落としました。来る日も来る日もたくさんの葉が散って、雨の日以外は掃除が欠かせません。内心は、「やっと、落ち葉のピークを過ぎたなぁ」とホッとしています。もみじが本格的に散り始めるまでは、ほんの少しだけ楽が出来ます。
 さて、紅葉のピークはいつでしょう? 例年は今月末ですが、こんなにバラツキがあっては、いつ頃と特定することはちょっと難しいですねぇ。もちろん、晴れた日がいいですね。時間としては朝か夕方の、斜めに日の光が差してくる頃。
 紅葉も一期一会、その時のご縁ですから、お越しになった時に一番きれいな場所を探すようなつもりで、ゆっくりとお楽しみください。




     薄  紅  葉  よ  り  カ  ー  ブ  し  て  濃  紅  葉  へ     稲畑汀子