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                   青空に白い雲、そして若緑       マウスを載せれば写真が変わります

 立夏の日の今日は、気温が28.2度まで上がる「夏日」となりました。先月30日にも27度を越えましたが、28度越は今季最高です。
 青空に白い雲が走り、若い緑がきらきらと美しい境内。
 観光地はおそらく大変な人出でしょうが、境内はそんな喧噪とは無縁で、散策している人がいつもよりも多い程度。ゆったりとした時間が流れています。
 爽やかな新緑といいたいところですが、もみじの梢に付いている花柄がしきりに降り続けているので、参道には細かい‘ゴミ’がいっぱい落ちています。黄砂はあまり観測されていないはずなのに、屋根や車はうっすら汚れています。「薫風」も、何となく埃っぽいような気がしますが・・・。
 時折、髪の毛にもみじの花柄を乗せている人を見かけます。境内を出られる時には要チェックです。
 子供の日なのに、子供の歓声一つ聞こえてこない、緑いっぱいの祝日でした。





       こ  の  顔  を  五  月  の  風  に  あ  づ  け  け  り          三吉みどり






             咲き連なる躑躅 / 真っ赤な蓮華つつじ      マウスを載せれば写真が変わります
 命の短いことを、よく花にたとえますが、春の花は特に短命な気がします。桜の花なども儚いたとえに使われますが、1週間前はまだ盛りではなかった藤の花が、今日見に行くと、ほとんど散ってしまっていました。桜よりもずっと短命です。
 春は、冬の長い眠りから一気に目覚める、勢いのある季節。悠長に、ゆっくりとは咲いていられないのかも知れません。
 初夏の代表的な花といえば、躑躅やさつき。今年は開花が遅い目ですが、いま、境内で一番目を惹いているのは、総門を入った駐車場脇の平戸つつじです。赤紫や桃色の花が、青空によく映えています。
 自坊の庭に咲く蓮華つつじの色は、鮮烈です。その色に惹かれるのか、よく蝶が飛来しています。ところが、この蓮華つつじには痙攣や呼吸停止を引き起こす毒があるのだそうです。
 躑躅の中には強い毒がある種類があるようですが、子供の頃はそんなことを知るよしもなく、花をくわえて蜜を吸っていました。「躑躅」という文字も、花の美しさからその場から立ち去るのを躊躇するという意味の他に、葉を食べた羊が、足元がおぼつかなくなって死んだことに由来するという説もあるようです。
 蓮華つつじは、とりわけ有毒。うっかりと蜜を吸わないようにしないと・・・いくつになっても、そういうことをしてしまいそうなので。


            花柄と実が混在する梢 / 唐種招魂の地味な花     マウスを載せれば写真が変わります
 もみじは、花が終わると同時に結実してきました。同じカエデの「花の木」は、もう実が熟したのか、翼の付いた実がヒラヒラと舞い落ち始めています。何と段取りのいいことでしょう。
 自坊の門の辺りにいると、甘〜い香りが漂ってきます。まったく匂わない日があるかと思うと、遠くにいても匂いに気が付く日もあります。湿気の多い日がよく匂うとか諸説あるようですが、必ずしもそうではなさそうです。
 最近は、家のシンボルツリーなどとしてもよく植えられるようになったこの木は、「唐種招魂(からたねおがたま)」。神社などによく植えられ、神事などに使われるそうですが、その匂いから「バナナの木」と呼ばれることもあります。
 花はご覧の通り、ごく地味で、一見では咲いているのに気が付かないほどです。通りからは見えない場所に植わっているのですが、開花したことはその匂いですぐに気が付きます。花よりも、匂いが好きな木です。
 連休もあと2日。さぁ、近場でゆっくり! 緑の境内にお越しください!




       子  ら  や  子  ら  子  等  が  手  を  と  る  躑  躅  か  な          良 寛