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          苔は緑なれど、花も新緑もなし / 誰もいないベンチ    マウスを載せれば写真が変わります

 お昼前から、雨がしとしと降り始めました。日付が変わる頃までは降るようです。
 昨日は最高気温が20.8度まで急上昇しましたが、今日は、一転して11度ほど。昨日の最低気温と今日の最高気温が、それほど変わりません。アップダウンが激しすぎます。
 あたたかさに誘われて、昨日は訪れる人の数も多く、哲学の道を通りがかりにチラッと見たら、たくさんの人が歩いておられるのにビックリしました。桜も咲いていないのに・・・。今日は、境内にほとんど人影がありません。
 しっとりと石畳が濡れて、苔が青々としてきた静かな境内は、とても落ち着きます。木々はまだ芽を吹いていませんが、今か今かと気配を伺っているのが手に取るようにわかります。
 雨に潤った木々たちが、そろそろ爆発的に動き出すでしょう。来週は、木々や花にとっても、‘新年度’となりそうです。




        落  ち  つ  み  し   椿  の  う  へ  を   春  の  雨        松岡青蘿





            雨に濡れる染井吉野の蕾 / 境内一早咲きの桜    マウスを載せれば写真が変わります
 遅れていた染井吉野の開花ですが、今日、京都地方気象台は開花宣言を出しました。平年より3日遅め、去年より8日遅れだそうですが、いつもながら、まるで実感の湧かない開花宣言です。
 境内の染井吉野は、やっと蕾の先から花色が見えてきた程度です。‘開花宣言’は週明けになります。
 「あっ、咲いてる!」と、時おり人が立ち止まっているのは総門前。種類の違う桜が、毎年、早目に咲き出すのです。花の色は少し白く、葉っぱも一緒に出てきますから、山桜系でしょうか? 今日は、10輪余りが咲いていました。
 この桜、初冬頃には狂い咲きしていたかと思います。狂い咲きして人目を惹き、また春に一早く咲いて注目を浴びる。なかなかの計略家です。
 泊まりがけで花見をしようと計画されていた方たちは、おそらくこの土日に焦点を絞っておられたでしょう。残念ながら見頃は2週目の土日です。自然が思い通りにいかないのは仕方ありません。来年をお楽しみになさってください。お近くの方は、出来れば土日の大混雑を避けて、京都にお越しください。


         今日、かろうじて開花の枝垂れ桜 / 蕾のうちは色濃い    マウスを載せれば写真が変わります
 染井吉野よりも早く咲くのが、「江戸彼岸(東彼岸)」系の桜。境内でいうと、三重塔脇の枝垂れ桜や本堂脇の「縦皮桜」です。
 江戸彼岸は、花の基部、萼の付け根が瓢箪の形に似ているので、すぐにわかります。また、幹の樹皮に細かい縦の裂け目が多く入るのも特徴の一つで、「縦皮桜」はその名の通りです。
 お昼過ぎに見に行くと、何とか5輪ぐらいは咲くかなぁ、開かないかなぁという感じでしたが・・・開花宣言は明日に持ち越しです。昨年は彼岸の中日にはしっかり咲いていましたから、10日以上遅い開花となりました。
 縦皮桜も見てきましたが、まだ咲いていないようです。だいたい枝垂れに遅れること1〜2日ですから、日曜日に開花宣言となりそうです。
 江戸彼岸系は、蕾から開き切るまでが、ピンク色が濃くて見頃です。開いてしまうと白くなってしまうので、染井吉野よりも早いほうがいいでしょうねぇ。
 境内では、山茱萸や馬酔木も見頃です。椿の花数も増えてきました。連翹も咲き出しました。自坊の前のレンゲも、ほんの少しだけ咲いて来ました。
 ぜひ、春を満喫なさってくださいね!




       く  ち  び  る  に   雨  の  ひ  と  つ  ぶ   初  桜         石田郷子