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                     青空広がる節分の境内        マウスを載せれば写真が変わります

 あっという間に1月が‘行き’、今日は節分となりました。明日は、待ちに待った立春です! えっ? 「待ちに待った」というほどではありませんか? 兎にも角にも、春立つのですから、その響きだけでもうれしく思えます。
 真如堂では、節分に「日数心経読誦会」という行事を、ここ30年来行っています。「日数心経」とは、その字の通り、般若心経を1年の日数分365回唱えて、皆さんの除災招福を願う法会です。
 ひたすら般若心経を読むだけの、いってみれば地味な法会です。ここしばらくは、最後に大般若転読会法要を併せ行っていましたが、今年は行われません。
 真如堂はご存知の通り阿弥陀さまのお寺なので、あまり祈祷などは行いません。檀家の方でも、このような行事を行っていることをご存知の方は多くないでしょう。
 京都で節分といえば、まず「吉田さん」。その吉田神社がすぐ隣にありますので、今日、境内にお越しになる方はほぼ100%が吉田さんへの行き帰りの人たちです。真如堂の日数心経も、その方たちを念頭に置いて始まったのです。
 2・3日の2日間、30分交代で真如堂の全僧侶が般若心経を唱えます。同じ般若心経ですが、それぞれ唱え方に個性があって、面白いものですよ。
 春立つ日を待つ青空の境内に、スピーカーから流れる読経の声が響いていました。




     節   分   と   知   つ   て   や   雀   高   飛   ん   で         森 澄雄






            青空と苔の緑 / 苔のさく柄がニョッキニョッキ     マウスを載せれば写真が変わります
 お天気がいいこともあって、今日は境内の苔の緑がとても綺麗に見えます。これも、「明日が立春」ということが大きく作用しているのでしょう。
 ところが、その苔もあちこちで穴だらけになったり、裏返ったりしています。鳥の仕業です。鳥が、苔の下の虫などを狙って啄んでいるのです。毎年の光景です。
 もし苔というものがなかったら、境内は地山丸出しの茶色い景色になってしまいます。景観を整えてくれるのはもちろん、適度に湿度を保ったり、歩く時にクッションになってくれたり、「苔ってありがたいなぁ」と、しみじみ思います。
 境内にある苔の種類は数十だろうと思いますが、ずいぶん前から細い‘さく柄’を延ばし始めています。この先に胞子嚢が付いて、それが熟すと開いて胞子を放散させるのです。地面を凝視していないとその営みはなかなかわかりませんが、1年を通して面白いものです。



                鐘楼脇の水仙 / 草の中からスミレの紫     マウスを載せれば写真が変わります
 境内では、水仙が咲き続けています。雪でたくさんの花茎が折れてしまいましたが、折れたままでも綺麗な花を咲かせ続けています。
 椿も、少しずつ咲いて来ています。まだ葉陰に隠れるようにして咲いているので、遠目にはよくわかりません。盛りはまだ先です。
 草原の中に去年から咲いているスミレの花数が、次第に増えてきました。
 以前は、その草むらに大犬の陰嚢(オオイヌノフグリ)が生えていて、一早く、野に春が来たのを知らせてくれました。でも、レンゲの種を蒔くようになってからは、姿が消えてしまいました。スミレは、しっかりした地下茎を持っているので、レンゲに駆逐されないのかも知れません。可憐な見た目とは違って、力強い草です。
 これからはますます日も長くなり、春の訪れをいろいろなところで感じるようになるでしょう。春の‘小さな出来事’を見つけて回るのも、とても楽しみです!




      春   立   つ   と   影   が   勝   手   に   動   き   出   す         萩山栄一