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                     静かな冬木立の境内        マウスを載せれば写真が変わります

 おだやかな年末の日となりました。
 朝の冷え込みも少し緩み、昼間は薄曇りで、時折陽が差して、実際の気温よりもあたたかく感じさせてくれました。
 境内はすっかり冬景色となりました。
 28日には屋根や苔の上だけに、うっすら雪が積もりましたが、水分の多いベタベタの雪で、あっという間に消えてしまいました。
 観光客の姿はほとんどなく、年末や早い目のお正月のお墓参りをされる方の姿が目立っていました。
 今年も大晦日を残すのみとなりました。境内の様子はほとんど変わっていませんが、歩いている方々の身の上には、ひょっとしたら大きな変化があったかも知れません。悲喜こもごもを想像しながら、行き交う人の背中を見ていました。


             紅い遺り葉 / ここがあたたかいと教える猫     マウスを載せれば写真が変わります
 何度も何度も落ち葉掃除を繰り返して、ようやく境内はきれいになりました。
 そんな中、枝にわずかに残っている紅い葉を見つけました。その葉を見ていると、境内が紅葉に満たされていた頃の情景がパァーッと蘇ってきます。こんな侘びた一葉ですが、そんな想像力をかき立てる、大きな力を持っているように思えました。
 冬の境内は、心が落ち着きます。派手さもなく、喧噪など微塵もなく、凜と冷えた空気が五感を蘇らせてくれます。
 そんな研ぎ澄まされていく心を緩めるのは、猫や小鳥などの動きです。野良猫は日向を求めて丸くなり、人が来ると後ろを振り返りながら移動していきます。鳥は群れでやって来たかと思ったら、つがいのものや単独行動のものもいて、見ていて飽きません。冬は鳥の姿がよく見えます。
 春が近付くまで、境内は眠りに就きます。でも、眠っているように見えて、実は春の芽吹きの準備を怠ってはいません。そんな静かで、それでいて力強いいのちの営みが行われる冬が好きです。




    冬   木   立   日   の   あ   る   う   ち   に   別   れ   け   り          清水基吉






            松竹梅と南天の実の正月用供花 / 鐘楼周りの水仙   マウスを載せれば写真が変わります
 墓地を回ってみると、たくさんのお墓に新しいお花があがっていました。20日過ぎ頃からは、墓参の方が特に増えました。
 お正月向けの松竹梅の供花が供えてあるお墓もあれば、色とりどりの洋花が入っているお墓、あるいは季節に関係なく樒が供えてあるお墓など、様々です。
 大晦日の除夜の鐘が終わって新しい年を迎えると、お墓はたくさんの方々で賑わいます。お正月の墓参は家族連れが多く、老若男女が連れだって来られるので、大人数になります。
 新しい年の初めに、ご先祖に挨拶をされる年始参り。とても清々しい気持ちになられることでしょうね。

 今年も、「苦沙彌のInternet僧坊」にお越しいただき、有り難うございました。
 スマホ対応が出来ていませんので、スマホでは見づらい、時代遅れのページとなってしまいました。来年は、再編成をしなければと思っています。
 来年が、皆さま方にとって幸多き佳き年となりますことを祈念申し上げ、今年最後の更新とさせていただきます。
 またのお越しをお待ちしています!




       一    年    の    心    放    し    て    年    送    る          長谷川歌子