5/7版
相変わらず、気温のアップダウンが激しい日が続いています。最高気温が、前日と3〜4度違うなどいうのにも、少し慣れました。
そんな中、自坊の門前の大きな遅咲きの平戸つつじが、今は盛りです。 日の光が好きなつつじのこと、よく日が当たる場所と当たらない場所では、花付きがまるで違います。木の天辺のほうはビッシリと花が付いていますが、側面になると減り、下の方はわずかに咲いているだけです。すぐ近くから見るよりも、少し離れたところから眺めたほうが、このつつじは見ごたえがあります。 この大つつじの裏側に咲いているのは、唐種招魂 です。 神社などに植えられ神事にも使われる木ですが、30年ほど前、ご近所の方から、「大きくなったら育てられないので、もらってください」と、小さな鉢植えを譲り受けたものが、今では4メートルほどにもなりました。日当たりのあまりよくない場所に植えたので、こんなに大きくなるとは思ってもいませんでした。 日によっては、50メートルほど離れた場所にいても、この花の香りが嗅ぎ分けられます。熟したバナナのような、実に甘〜い香りです。 通りがかりの人も、「この香りは何かしら?」などと不思議がっておられますが、参道からは少し離れ、またごく地味な花なので、その香りの‘源'を探り当てることはまず不可能。知る人ぞ知る、自坊の‘秘密の木'なのです。
比叡山の僧が、法衣の一つである‘帽子'を付けた姿に似ているというのが、名前の由来です。その‘帽子'も、咲き始めは、まだ小さく、色も少し黄緑がかっています。 美しくなるのはこれからですが、花水木のような派手さはありません。自坊を出入りする時に、これからの移ろいを見るのが楽しみです。 自坊の庭の中には、谷うつぎが咲いて来ました。 低山を歩く時、美しく咲いていたこの花に魅せられて、何とか苗が欲しいと思っていましたが、10年ほど前、河原町丸太町の道路の生垣にこの花を見つけ、夜陰に乗じて一枝拝借して挿し木したのが、今は大きくなりました。その木を元に挿し木した苗が、境内にも数本植わっていて、幼木ながら花を咲かせています。 こうして考えると、どれだけ多種多株の草木を植えてきたことでしょう。それが大きくなって、花を咲かせてくれているのは、何とも冥利に尽きます。皆さんにも、ぜひ見ていただきたいです。 行 く 道 も 気 づ け ば い つ か 帰 り 道 高野喜久雄
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