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晴れた日は、爽やかな新緑が美しい! 雨の日は、濡れて重たそうに垂れ下がる若葉が艶やか。晴れても、降っても、今の時期の新緑は何とも言えないほど綺麗です。
桜の花はそのうち土に同化していきますが、その後に落ちるのは桜の蘂。そして、もみじの花が終わった後には、細かい花粕がいっぱい降って来ます。石畳はそんな小さな‘ゴミ'であっという間に汚れてしまいます。 また、今は広葉樹の葉が古いものから新しいものに入れ替わる時期。古い葉がいっぱい落葉します。樫や楠などの葉っぱが、たくさん落ちてきます。毎日掃いても、掃除をしていないかのように見えて困ります。 もみじのように鮮やかな新緑もあれば、樫や楠の新しい葉はくすんだ緑〜茶色です。「花の木」の新しい葉も、赤茶色。そんないろいろな色がない交ぜになって、境内は場所によっては複雑な色を見せています。その深さが、また何とも言えません。 目を山に転じると、様々な木がそれぞれの色合いで芽吹き、新しい葉を広げているのがわかります。南宋の山水画家 呂祖謙は、「春山淡冶にして笑うが如く、夏山蒼翠にして滴るが如く、秋山明浄にして粧うが如く、冬山惨淡として眠るが如く」と記したそうですが、「山笑う」、実にステキな言葉ではありませんか? 山を見てはその言葉を思い出して、思わず微笑みたくなってしまいます。 う す う す と 色 を 重 ね て 山 笑 ふ 稲畑汀子
今日、10人ほどでお越しになっていたグループの引率の方が、「このお寺は、一年中、何か花が咲いています」とレンゲを見ながら解説されていました。何とも嬉しいお言葉。そうして見てくださる方がおられるのが、励みになります。 自坊の門の前に、ひっそりと卯の花が咲いていて、そろそろ満開を迎えます。 とても可愛い花なので、小さい株を本堂の北側当たりに数株植えましたが、なかなぁ大きくなってくれません。日当たりが悪いのでしょうねぇ。日当たりのいい自坊の前の株は、いっぱい花を咲かせています。 ここしばらく雨の日が多くなるとのことで、「菜種梅雨」だと天気予報で言っていました。それを聞いて、「卯の花腐し」という季語を思い出しました。「卯の花を腐らすという意で、さみだれの異称」。5月の季語とされています。ところが、卯の花はいつも4月末には咲いてしまい、「合わないなぁ」と、毎年思っています。 夕方から雨になりました。新緑に雨もまたよし。楽しみましょう。 押 し あ う て 又 卯 の 花 の 咲 き こ ぼ れ 正岡子規
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