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                   新緑の参道 / 新緑深い本堂裏     マウスを載せれば写真が変わります

 晴れた日は、爽やかな新緑が美しい! 雨の日は、濡れて重たそうに垂れ下がる若葉が艶やか。晴れても、降っても、今の時期の新緑は何とも言えないほど綺麗です。
 「紅葉の時期もいいですが、今のほうが好きです。空いてもいますし」などと、この時期を選んでお越しになって新緑を満喫されている方に出会います。紅葉の頃は、時間に追われ、混雑に揉まれて、必死な形相をされている方も多いですが、今の時期に来られる方はみなさんリラックス。ゆっくり参道を歩いておられる方の顔に、若紅葉の間から漏れてくる木漏れ日がチラチラ当たります。
 気温は相変わらずアップダウンを繰り返しているので、朝で掛ける時はちょっと肌寒くても、天気のいい昼間は夏日になるほどに気温が上がって、上着を手に持っておられる方も多く見かけます。春から夏へと移りゆく今の時期は、四季の移ろいを肌で感じる季節です。


           緑に隠れる鐘楼堂 / 涅槃に庭と笑う大文字山      マウスを載せれば写真が変わります
 今の時期は、落ち葉の季節に次いで掃除が大変な時期かも知れません。
 桜の花はそのうち土に同化していきますが、その後に落ちるのは桜の蘂。そして、もみじの花が終わった後には、細かい花粕がいっぱい降って来ます。石畳はそんな小さな‘ゴミ'であっという間に汚れてしまいます。
 また、今は広葉樹の葉が古いものから新しいものに入れ替わる時期。古い葉がいっぱい落葉します。樫や楠などの葉っぱが、たくさん落ちてきます。毎日掃いても、掃除をしていないかのように見えて困ります。
 もみじのように鮮やかな新緑もあれば、樫や楠の新しい葉はくすんだ緑〜茶色です。「花の木」の新しい葉も、赤茶色。そんないろいろな色がない交ぜになって、境内は場所によっては複雑な色を見せています。その深さが、また何とも言えません。
 目を山に転じると、様々な木がそれぞれの色合いで芽吹き、新しい葉を広げているのがわかります。南宋の山水画家 呂祖謙は、「春山淡冶にして笑うが如く、夏山蒼翠にして滴るが如く、秋山明浄にして粧うが如く、冬山惨淡として眠るが如く」と記したそうですが、「山笑う」、実にステキな言葉ではありませんか? 山を見てはその言葉を思い出して、思わず微笑みたくなってしまいます。




    う   す   う   す   と   色   を   重   ね   て   山   笑   ふ        稲畑汀子





            咲いてきた平戸つつじ / 風にそよぐ卯の花     マウスを載せると写真が変わります
 境内ではいろいろな花が咲いています。藤、つつじ、どうだんつつじ、卯の花、八重桜、レンゲ、たんぽぽ・・・まだまだ他にもあります。
 今日、10人ほどでお越しになっていたグループの引率の方が、「このお寺は、一年中、何か花が咲いています」とレンゲを見ながら解説されていました。何とも嬉しいお言葉。そうして見てくださる方がおられるのが、励みになります。
 自坊の門の前に、ひっそりと卯の花が咲いていて、そろそろ満開を迎えます。
 とても可愛い花なので、小さい株を本堂の北側当たりに数株植えましたが、なかなぁ大きくなってくれません。日当たりが悪いのでしょうねぇ。日当たりのいい自坊の前の株は、いっぱい花を咲かせています。
 ここしばらく雨の日が多くなるとのことで、「菜種梅雨」だと天気予報で言っていました。それを聞いて、「卯の花腐し」という季語を思い出しました。「卯の花を腐らすという意で、さみだれの異称」。5月の季語とされています。ところが、卯の花はいつも4月末には咲いてしまい、「合わないなぁ」と、毎年思っています。
 夕方から雨になりました。新緑に雨もまたよし。楽しみましょう。




    押  し  あ  う  て  又  卯  の  花  の  咲  き  こ  ぼ  れ          正岡子規





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