12/19版
今までは気持ち悪いほどの暖冬でしたが、ここ数日は急に冷え込んで最低気温を更新。今朝は2.2度まで下がり、京都市内でも結氷したところがあったとか。昨日は、比叡山がうっすら白くなっていました。
もうほぼモノトーンに近い境内を歩いていて、本堂裏の万霊堂の前に、わずかに残った紅葉を見つけました。たった一枝だけですし、色ももう冴えません。周りに紅葉が溢れている時だったら一瞥もされなかったであろう枝ですが、‘残り福'のようなその場所に、通りがかる人の視線が引き寄せられています。 「紅葉の時には、伺いません」という方もおられます。静かな境内がお好みなのでしょう。そんな方にもお越しいただける季節が、やっとやって来ました。
先日、鐘楼の基壇の上を歩いていると、フワッと甘い香りが漂ってきました。気温が低い中なのに、そんな香りに出会えたことが、とても嬉しかったです。 水仙はこれからまだどんどん咲いて来ます。 モノトーンの境内に目立つ赤い色は、南天の実。日の光が当たった南天の実は、艶やかに輝いてとても綺麗です。 墓所の中でも、先日まではそんな南天の実がいっぱい見られました。ところが、今はわずか。墓所の花屋さんが、正月用の供花の材料にするために、実を切り取ったのです。でも、花屋さんが採らなくても、1月になると実はすっかりなくなっていきます。鳥たちが食べてしまうのです。供花としてお墓に供えられても、鳥に食べられてしまうので、結果は同じ。南天の実は鳥たちのお腹に収まり、そして糞と一緒にあちこちにばらまかれて発芽します。南天の‘作戦'です。 些細な出来事を愉快に感じることが出来る季節。冬にはそんな楽しみがあります。 億 年 の な か の 今 生 実 南 天 森澄雄
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