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             もう紅葉の盛り? / いえいえ、まだ緑ですよ     マウスを載せれば写真が変わります

 最初の写真をご覧になった方は、「えっ! もうこんなに紅葉しているの?」と驚かれるかも知れません。‘裏写真’をご覧ください。まだ、緑色でしょう? 境内全体の雰囲気は、ちょうどこの中間ぐらいですよ。
 秋晴れの日が続いています。今朝は11.5度まで気温が下がりましたが、昼間は25.4度の夏日となって、汗ばむぐらいでした。
 境内の木々の色も、日に日に秋色になってきました。
 最初の写真は、どうして紅葉の盛りのように見えるのでしょうか?
 三重塔の手前に見える枝先の紅い木は、「花の木」。かえでの一種で、境内で一番紅葉が早い木です。写真の右側手前から、沙羅、羽団扇楓、桜と、これまた紅葉の早い木ばかりが並んでいます。そんなわけで、境内がもうすっかり紅葉しているように見えるのです。
 ‘裏写真’は、本堂の裏側で、ほとんどもみじばかり。境内でも、一番紅葉が遅いのが、この本堂裏。まだ、ほとんど緑色です。
 今年の紅葉が早いとか遅いとか、綺麗とか平年並みだとか、いろいろ取り沙汰されていますが、当たったためしがないように思います。まぁ、お楽しみにということですね。




      好   き   な   道   桜   紅   葉   の   頃   な   れ   ば          稲畑汀子






       引声の看板のかかった本堂 / 1字を長く唱える節回し   マウスを載せれば写真が変わります
 今日は、年中行事の「引声阿弥陀経会」の最終日、結願法要でした。
 「引声」とは、経文の1字1字に長い節を付けて唱える声明の一種。
 真如堂の御本尊を彫られた慈覚大師は、入唐求法の旅の中、五台山において、文殊菩薩から「引声阿弥陀経」を伝授されたといいます。帰国後(847)、大師はそれを比叡山に伝え、また大山寺(鳥取)や魚山(京都大原)、そして真如堂にも伝承されました。
 応仁の乱(1467〜1477)の時、真如堂の堂塔は打ち壊しに遭い、その後寺地を転々としますが、その混乱の中、引声阿弥陀経会は次第に衰退していきましたが、江戸時代中期の延享年間(1744-1747)、三井家の援助により、大山寺に相伝されていた譜をもとに再興されました。本堂内陣に引声塔を立て、僧衆が律衣を着用する現在の形は、この時以来のものです。また、法要期間中、脇陣には念仏行者の守護神といわれる摩多羅神をまつります。
 普段と違う節回しを使うので、初日はなかなか調子が揃いません。3日目の今日は、ようやく少し‘上手’になってきました。
 長くて、あまり抑揚のない法会ですが、年中行事としては真如堂でしか行われていないとあって、今日は浄土宗の僧侶の方など聴聞されました。
 この法会が終わると、いよいよ紅葉シーズンが近付いてくるという実感が湧いてきます。

           貴船菊もそろそろ終盤 / 色付いてきた南天の実   マウスを載せると写真が変わります
 藤袴、酔芙蓉、夏前からずっと咲いていた木槿なども花期を終え、境内の花はすっかり少なくなりました。紅葉に取って代わられていくのですね。
 貴船菊(秋明菊)が、境内の所々で風に揺れているのが、秋の趣を増してくれます。石蕗の花も咲いています。
 何といっても、秋は実りの季節。銀杏がたくさん落ちるようになったので、職員さんが皮むきに精を出しています。その臭いが寺務所まで漂って来て、風向きに寄っては耐えがたい時があります。
 墓所などにたくさん生えている南天の実が、赤く色付いてきました。熟して赤くなるのは、鳥に見つけてもらいやすいようにするため。その甲斐あって、境内のあちらこちらで、鳥が運んだと思われる種が発芽しています。
 本堂裏の山茱萸の実も、真っ赤。日が当たるとキラッと輝いて、何とも美味しそうです。でも、鳥も食べないところを見ると、味は推して知るべしです。あっ、ぐみの実を見に行ってこなくちゃ!
 10月も半ばを過ぎました。日も短くなって、もうしばらくすると暖房が欲しくなってきそうです。
 秋の好期、皆さん、どうぞお楽しみください。




     あ   き   ぐ   み   に   陽   の   匂   う   風   吹   き   来   た   る          金子兜太




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