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             灰色雲と青空の参道を登る / 苔だけは緑色     マウスを載せれば写真が変わります

 コロコロとお天気が変わる、冬の京都らしいお天気でした。昨日、立春を迎えはしましたが、今日は寒さが身にしみました。
 雲が優勢のスッキリしない天気でしたが、お昼過ぎには青空が出て、喜んだのも束の間、時雨れたり、少し強く降ったり、また日が差したりの繰り返しでした。
 こんな日は、訪れる人もわずか。今日の拝観者は5人。最近、本堂の職員さんが夕方帰ってきた時に、1日の拝観者の数をボクが言い当てる‘遊び’をしているのですが、「今日は6人?!」というボクの予想は、そう大きくは外れていませんでした。「今日はゼロ?」「いえ、2人です」というようなことも珍しくありません。
 天気も不安定で、ほとんど人の姿を見ない境内に、防災機器の点検による火災報知器のベルの音や消防ポンプのディーゼルエンジンの大きな音が、なおさら大きく響いていました。




       雨   の   中   に   立   春   大   吉   の   光   あ   り          高浜虚子






 真冬から大きいままの紫陽花の芽 / 細い竹の元に紫陽花苗が…見えない マウスを載せれば写真が変わります
 春の兆しを求めて境内を散策してみましたが、収穫はありませんでした。1週間前と何も変わっていません。
 「探梅」という季語があります。冬の野に、早咲きの梅を探して山野に入ることで、春を待ちわびる冬の季語です。
 境内で咲いてる梅は、自坊の前の早咲きの八重紅梅だけ。探さずともわかっています。椿はどうかなぁと見て回りましたが、相変わらず、数本がひっそり咲いているだけでした。
 紫陽花の新芽は、ずいぶん前から膨らんでいます。霜や雪で傷まないかと心配ですが、乾燥した冷たさでなければ大丈夫そうです。
 先日、冷え冷えとした空気に包まれる中、挿し芽をした苗を定植しました。この冬植えた苗は、これで200本ぐらいになったでしょうか。立派になるまでには5年ほどかかるでしょう。
 あと100本ほど植えたら、もう植える場所がなくなります。「紫陽花1000本計画」は、800本ほどで終わってしまいそうです。
 5年後が楽しみです!

             草の中のすみれの花 / 水仙は花盛り       マウスを載せると写真が変わります
 やっぱり、花が咲いているのを見るとうれしいですねぇ。
 すみれも、ずいぶん前から咲いていて、その数は大して増えてはいません。目を凝らして探さないとわからないような草の中に、ひっそりと咲いています。
 「大工さんの‘墨壺(墨入れ)’に似ていることから、すみいれ…すみれ…になったのですよ」と説明しても、墨壺を見たことがある人は、今はもうほとんどいないでしょう。花の名前の由来を調べると、とても面白いですよ。
 「水仙」の名は、中国の古典の「仙人は、天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙」というのが源だそうです。海を臨む海岸などにはよく生えていますが、あまり水辺を好むという印象はありませんので、「ほんと?」という感じです。
 スイセン属の学名は「Narcissus」。呪いをかけられた美少年ナルシスが、泉に写った自分の姿に恋い焦がれて憔悴して死んでしまい、水仙の花と化したという話が源です。偶然かも知れませんが、やはり水と関係があるのですね。
 水仙は、ヒガンバナ科の多年草で、やはり強有毒。少量の葉でも、誤って食べると下痢などを起し、特に、鱗茎には強い毒性があって、誤って食べると、下痢、嘔吐、腹痛、痙攣や神経麻痺を惹き起して、死に至る危険があるそうです。お気を付けくださいね。
 明日から、境内の木々に寒肥を施すために、植木屋さんが来てくれます。もうしばらくすると、草木も動き出します。
 まだまだ寒い日が続きますが、お風邪など召されませんように。




     う   す   ぐ   も   り   都   の   す   み   れ   咲   き   に   け   り        室生犀星




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