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                     雨の合間に日が差す境内         マウスを載せれば写真が変わります

 前線の通過に伴って、所々に発達した雨雲がかかり、今日未明には、京都府北部の福知山市と綾部市で1時間に90ミリの猛烈な雨が降りました。綾部市のボクの友人宅も一部が床下浸水したそうです。
 京都市内はそれほどは降らず、今日1日でも10ミリ以下。でも、朝から降ったり止んだり、雷が鳴ったりという、とても不安定な天気です。
 今日は雨雲レーダーを何度も見ましたが、雨雲が時おり京都市にかかったり、通り過ぎたり。夕方には1時間雨量80ミリ以上を表すえんじ色の表示がすぐ近くをかすめていきました。
 今年のこの天気は、「30年に1回以下の頻度で起きる異常気象」だとか。8月の京都市の雨量は平年の約3・7倍で、54年ぶりに記録を更新。日照時間は平年の約52%で、観測史上2番目に少なかったそうです。近年多発する局地的豪雨の一因は地球温暖化の影響だそうで、こうした現象は再び起こる可能性があるのだそうです。どうやら、今年だけのことではなさそうです。
 雨が降るのは境内の植物にとっては嬉しいことですが、ここまで降ってくれなくても結構です。時おり降る激しい雨に境内の表土は削られがちで、排水路は落ち葉や砂が詰まって、時おり茶色い水が溢れています。
 1日も早くお天気が安定することを、切に願っています。





       男   の   傘    借   り   て   秋   雨    音   重   し          菟 絲子






地面から素麺が湧き出た? / この地面にも栄養が行き届いてきたのかな? マウスを載せれば写真が変わります
 雨やジメジメした気候がうれしいのは菌類たち。例年、秋の長雨の頃は境内のあちらこちらで茸を見かけますが、もちろん今年もたくさん顔を見せています。
 何もないような土のところから生えている茸もありますが、多くは木の根や幹に生えています。
 でも、茸が生えるようになった木は、末期を迎えようとしているといってもいいでしょう。若く元気な木に、茸は生えません。
 植物や動物の‘死骸’を最終的に分解するのは菌類です。菌が死骸を分解して、豊かな土に変えていきます。茸が生えるということは、木が腐ったりしている証拠。茸は木から栄養をもらって成長していきます。
 茸ウオッチングは、境内の木の状態をするのにもとても役に立ちますし、土の栄養状態を知る参考にもなります。そんな目で見ると、茸もまた楽しいものです。

      チュッパチャップスみたいな山法師の実 / 咲き始めた藤袴    マウスを載せると写真が変わります
 こう雨が多いと、花は可哀相です。酔芙蓉、木槿、朝顔、どの花も花弁が大きく、雨の重みで開き切ることができないような感じで咲いています。
 酔芙蓉は朝は白く、夕方には濃いピンク色に変わるのですが、最近は濃い色にならないこともあります。
 酔芙蓉が紅くなるのはアントシアニンが生成されるためで、午後に色が変わるのは気温が上がるからです。アントシアニンの生成は、温度が25度以上だと進みますが、低温だとあまり合成されません。
 今月になってから、最高気温が30度を越えたのは1日だけ。26度に達しない日もありました。酔芙蓉も本領を発揮できないでいるようです。
 いま面白いのは、自坊の門前の山法師の実。次々と赤く熟して、落ちています。形も愛らしく、見ていると何だかほっとします。
 本坊の横では、藤袴も咲き始めました。
 ちょうど今日、絶滅危惧種である藤袴の保存運動をしているお香屋さんから、例年通り、藤袴の鉢植えを持って来てくださるという電話も入りました。「何だか、もうすっかり秋だなぁ」と感じました。
 この花が咲く頃になると、渡り蝶の浅葱斑がやってくるのが楽しみです。どうやって、藤袴が咲いていることを知るのでしょう? 空の上からでもわかるのでしょうか? この花を目指してやって来ます。
 楽しみなのですが・・・ その前に、まだまだ十分には咲いていない酔芙蓉や木槿をちゃんと咲かせてあげたい気でいっぱいです。
 8日は白露で十五夜、9日は重陽の節句です。




      虫  の  音  を   あ  つ  め  て  星  の   夜  明  け  か  な           織本花嬌