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        ネットに覆われた本堂正面 / 本堂の軒の高さから見た境内  マウスを載せれば写真が変わります

 今日もはっきりしないお天気でした。曇りがちで、お昼過ぎには少し青空も見えましたが、夕方から雨。こんな天気が、まだ数日続きそうです。
 20日以来、「晴れ」から遠ざかっているので、青空が恋しく思えます。
 8月ももうすぐ終わり。今年は30度以上が何日続いた、35度以上が何日あったとか、水不足などという話題とは無縁の夏でした。日本列島が、水害に苛まれた夏といってもいいでしょう。その爪痕はまだ生々しく、テレビを見る度に心が痛みます。
 それでも、秋はやってきます。炎暑は過去のものとなり、蝉や虫の鳴き声、木々の様子にも秋を感じるようになってきました。
 お盆や地蔵盆が終わるのを待っていたかのように、本堂の表裏に大きな足場が出現し、本堂の正面も、小さな入り口以外はシートに覆われてしまいました。
 屋根や樋の補修工事が始まったのです。紅葉の季節を迎えるまでに終わらせなければいけないので、これからの2ヶ月は火急の工事が続けられます。
 本堂に足場が設けられることなんて、ボクの記憶にはありません。せっかくの足場ですから、現場監督の許しを得て、登らせてもらいました。
 さすがに、普段見る景色とは少し違います。快晴だったら、もっと絶景に違いありませんが、三重塔の向こうには京大病院などもよく見えます。入院をされていた方が、「病棟の窓から、本堂や三重塔が見えて、うれしかった」とおっしゃっていましたが、なるほど逆からもよく見えます。
 花の木は、下から見るよりもずっと色付いていますし、菩提樹の茂りも大きな塊です。正面の石畳も、とても印象的です。
 千載一遇の機会。秋空が美しい日に、たくさん写真を撮ろうと思っています。





       夕  ひ  ぐ  ら  し   静  か  に  な  り  し   息  を  つ  ぐ          結城昌治






                黄安(蘆敖)仙人 / 琴高仙人         マウスを載せれば写真が変わります
 景色ももちろんですが、足場に登って一番写したかったのは、屋根の前後の4隅に付いている飾り瓦。下からなら、今までに何度も写したことがありますが、距離があるのと、角度の問題、木が邪魔をするなどで、全貌を捉えることができませんでした。でも、今なら間近に見られます。
 以前、この瓦を作ったのは、伏見・深草の瓦棟梁 寺本甚兵衛と聞いたことがあります。
 秀吉は、伏見城築城の時、瓦師に原料粘土の産地深草に用地を与え、御用瓦師として諸税賦役を免除したといいます。瓦師はそれ以来、深草に定住して、京都大仏殿や内裏の再建、二条城や各宗の大本山の建築に携わってきました。寺本甚兵衛はその末裔です。
 正面左側(北西)の瓦は、亀に乗った黄安(蘆敖)仙人。反対側(右側。南西)は、琴高仙人。鯉に乗っています。この二人の仙人は、よく左右対称に配されることが多いようです。
             ‘おねえ’っぽい仙人 / 牛を引く仙人      マウスを載せると写真が変わります
 本堂裏側の屋根は、左側(南東)に何をしているかよくわからない仙人。左手を右耳に当てているのでしょうか? 後ろは滝? 下の方に水しぶきがあります。
 右側(北東)は、牛を引く仙人。「何という仙人なんだろう?」と、ネットで、「牛」「仙人」と検索すると、出てくるのは福岡の焼き肉屋さん。この両仙人についてご存知の方、是非とも教えてください。
 細工は粗いですが、4体とも独特の顔つきをしています。
 仙人は、仙境に暮らして仙術をあやつり、不老不死を得た中国の道教の修行者です。ところが、道教は日本仏教にも混用され、建築においても、彫刻などに多用されて、真如堂本堂の欄間も「八仙渡海」という物語を表現しています。
 この仙人の瓦は、実際には見ていただけませんが、こんなものが屋根の上にあるのだと思っていただくと、ちょっと愉快かも知れませんね。


          ちょっと寂しいヘブンリーブル / こっちもさみしい酔芙蓉   マウスを載せれば写真が変わります
 7月は渇水、8月は日照不足と多雨で、境内の植物たちも翻弄されて、何だか調子が出ないようです。
 ヘブンリーブルーも、数年ぶりに枯れてしまうことなく、毎日花を咲かせてはいるのですが、どうも精彩を欠いています。気候のせいなのか、育て方がよくないのか、悩んでいます。
 酔芙蓉も、花数が多くありません。
 7月まで、なかなか大きくならなかったのは水不足。その後、急に大きくなった株もありますが、個体差が著しく、蕾はたくさん付いているのですが、花が遅れています。
 必要な時に必要な条件が整わないと、いくら後から追っかけても、上手く咲いたりしてくれない花。今度どうなるのか、とてもヤキモキしています。

          控えめな玉紫陽花 / 彼岸には散ってしまう宮城野    マウスを載せると写真が変わります
 自坊の庭は、ちょっと賑やかです。玉紫陽花が咲き、萩が咲き乱れているのです。
 玉紫陽花は、開いた花は額紫陽花に似ていますが、蕾はまん丸でボールのよう。それが名前の由来です。花は額紫陽花よりも地味ですが、蕾は特徴的で、蕾のほうが魅力的かも知れません。
 千葉県の笠森寺からいただいたもので、京都ではほとんど見られません。
 まだ暑さ厳しい頃から、萩が咲いています。宮城野萩でしょう。
 以前、ある植木屋さんが、「夏の暑いうちから、あちこちで萩が咲くようになった」と歎いていましたが、宮城野萩はまだ秋とは思えない頃から咲き出します。庭のこの萩は、庭を造った際に別の植木屋さんが植えたもの。確かに、ちょっと早く咲きすぎ・・・。境内の昔からの萩は、お彼岸頃に咲きます。
 庭には、姫路・明珍の風鈴がまだ吊してあります。紫陽花が咲いて、萩の花も風になびき、明珍の妙なる音がかすかに鳴る。季節が混ざっているようで、何かちょっとしっくりこないなぁ〜。
 火曜日頃から、晴れ間が戻ってきそうです。体長を崩されませんように。




     夏 と 秋 と  ゆ き か ふ 空 の か よ ひ ぢ は  か た へ 涼 し き  風 や 吹 く ら む        凡河内躬恒