6/20版
梅雨とはいうものの、あまり雨が降りません。1週間ほど前までは雨がちでしたが、その後はほとんど降らず、空梅雨のような気配。
でも、まだ茶色くなった花粕が枝先に残っているので、ご覧になった方の中には花や蕾と勘違いしている方もおられます。「わぁー、咲いているわよ!」と喜んでおられるので、「それは実です。花はもう終わりました」とは言い出し難い雰囲気です。髪の毛にたくさんの花粕を積もらせたご婦人もおられましたが、これもちょっと言い出し難くって・・・。 樹下を黄色く染めていた花粕もすっかり茶色くなってしまいましたので、今日、職員さんが掃除をしました。集まった花粕は、60センチ四方の袋のほぼ半分。いったいどれくらいの花の‘残骸’がこの袋の中に入っているのでしょう? 今年も楽しませてくれた菩提樹の花、ありがとう。次は、実を楽しませてもらいます。
一気に咲いて、一気に散っていく花ではないので、盛りがいつなのかはなかなか判断しにくいですが、今が盛りであることは間違いないでしょう。今月いっぱいは大丈夫です。 ‘本物’の沙羅の花は、ジャスミンのような香りを放つそうですが、日本の沙羅「夏椿」はあまり匂いません。 この花の持つ儚いイメージと名前、花弁の白と雄蘂の黄の対比などが多くの方を惹きつけるのではないかと思いますが、割と地味な存在だと思います。 せっかく本堂の前までお越しになっても、沙羅に気が付かずに帰ってしまう方もおられます。説明書きも掲示してありますので、ぜひご覧ください。
いろいろな種類の紫陽花を観察していると、少雨などものともせずに太い茎を林立させているような株があるかと思うと、すっかりしな垂れているものもあります。前回ご報告した葉ダニに対しても、強い種類、弱い種類があるようです。 昨年よりも種類が増えた花を見ていると、「紫陽花にもいろいろな個性があるなぁ」と感心します。形も色も違いますし、同じ種類でも植えた場所によって色が変わって来ます。 『阿弥陀経』に、「青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光(それぞれの色はそれぞれの光を放っている)」とありますが、得難き‘オンリー・ワン’だと思います。
菩提樹といっても、こちらは「栴檀葉の菩提樹」、モクゲンジです。葉が 栴檀の葉に似ていて、黒い種が数珠に利用することができるところからその名があると言われています。 英名は‘Golden rain tree’といいますが、ボクは栴檀葉の菩提樹よりも、この英名のほうがこの木にはふさわしいと思っています。 花が咲き始める頃になると、すぐに樹下には黄色い花の粕が降って来ます。その様子がまさに‘Golden rain’のようなのです。花もいいですが、落花も美しい木です。 総門の内側では木槿の花が咲き始めました。最初に開花している光景を見た時、「えっ、もうそんな時期!」と思いました。 花期の長い木槿は、9月頃まで次々と花を咲かせますが、‘盛夏の花’というイメージがあります。「梅雨もまだ最盛期ではないのに…」と思いましたが、明日は夏至。あっという間に時は過ぎて行きました。 木槿の花数も、これから日に日に増えていきます。それと共に、暑い日がやってくるのですね。 どうか、皆さんご自愛ください。 あ ら く さ の 香 立 ち て あ り し 夏 至 の こ ろ 岸田稚魚
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