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                     どこまでも空は青く葉は緑       マウスを載せれば写真が変わります

 ゆっくりした高気圧に覆われて、快晴の日が続いています。朝晩はちょっと涼しいものの、昼間は暑いぐらい。今日は一気に25.9度まで上がりました。5月下旬並みだったそうです。
 まだ色の定まり切っていないもみじの柔らかい葉に日の光が当たり、木の下では木漏れ日がゆらゆら動いています。蔭に入ると暑くはなく、風も爽やか。でも、まだ「薫風」と表現するには早い感じです。
 こんな素晴らしい季節の、こんな佳き日なのに、人影はまばら。連休前だからでしょうか? 毎日‘休日’というような人こそ、こんなに空いている日にお越しになればいいのに・・・。
 若い緑に包まれるだけで、身も心もリフレッシュさせてもらえそうな、晩春の一日でした。


                かえで 三態 / 花の木の若葉       マウスを載せれば写真が変わります
 もみじの葉には、まだ小さく赤い花が付いているため、‘緑一色’というわけではありません。桜の葉はほぼ開いて若緑色ですが、赤紫の萼がぶら下がっているので、まだスカッとはしていません。樫や楠の若葉は、ちょっと茶色かかった緑色。
 ややこしいのは花の木。‘表写真’、左から桧(上)、もみじ(下)、赤いのが花の木、褐色も花の木。花の木の色は、葉ではなく、種の色です。赤い方はおそらく西洋種か園芸種の花の木。褐色のは木曽福島産。枝振りも違います。
 あと1週間ほどすると、‘翼’の付いた2.5センチほどのこの種が、風に吹かれてクルクル舞いながら飛んで来ます。それはもう、愉快というか、パラダイスというか、誰も見ていなければ、キャァーキャァー言いながら手を思いっきり延ばし、種を捕まえようと走り回りたいです。




      あ   ら   た   う   と    青   葉   若   葉   の    日   の   光          松尾芭蕉




             夕暮れの普賢象桜 / つつじの季節到来   マウスを載せると写真が変わります
 鐘楼の周りの八重桜も終盤。木の下はピンクの絨毯を敷き詰めたようなってきました。
 あまり目立たないので、知らない人も多いですが、千体地蔵前辺りには普賢象桜が2本あって、花を咲かせています。
 スコップでは掘れないほど硬くて、石コロも多い土質のため、普賢象の木は樹勢も弱くて、一向に太りません。なかなか花芽が大きくならないので、「枯れてしまったんだろうか」と思っていたら、思いのほか沢山の花を付けてくれました。その花も、盛りを過ぎました。
 桜に代わって、つつじの花が一気に咲き出しました。咲いたのを見て、「えっ、もうそんな季節なんだ」と知らされたような感じ。4月も残りわずかになったのですね。



           ゲンゲ畑、出現 / 香りは一流、花は地味を極める   マウスを載せれば写真が変わります
 自坊の前は、レンゲ草の花盛り。
 夕方、これを見るのを楽しみに、犬の散歩をしているという人に出会いました。毎年、種を買って蒔いていると説明すると、大体の人は驚かれます。かつては、あちこちで見られた風景ですもの。
 やはり自坊の前では、時折、甘い香りが漂ってきます。
 「ひょっとして!?」と見に行くと、咲きかけていました唐種招霊からたねおがたまの花。あまり目立たない、地味な花です。
 バニラエッセンスのような香りは、風向きになどよっては、三重塔の向こう側まで漂って来ます。でも、近付いてみたら案外に匂わなかったり、朝や夕方によく匂ったり、どういう時によく匂うのかがわからない、不思議な花です。
 どこに唐種招霊の木があるのかご存じない方が、匂いを手がかりに木を探そうとしても、まず見つけるのは不可能。花は美しいわけでもないので、甘い匂いをいっぱい吸い込んで、美しい花を想像してみてください。


       何度も見ちゃう、可愛い姫シャガ / オトコヨウゾメって?  マウスを載せれば写真が変わります
 拝観順路の中では、姫シャガが見頃です。小さい花だからといっても、目にも鮮やかな薄紫色ですから、気が付かない人はおられません。
 ボクも、1日に何回か見に行くことがあります。可憐ですよ!
 和風モダンな‘パッチワークの庭’、「随縁の庭」ではオトコヨウゾメの花が満開です。
 「オトコヨウゾメ」という名前を初めて聞いたという方がほとんどでしょう? 関東〜九州の山野に自生する落葉性の低木で、ガマズミの仲間です。
 3年前に庭が出来る前からこの場所に生えていて、庭を設計された重森千青さんの「残しましょう」の一声で、切られず済みました。花後に扁平な楕円形の実がなり、秋に赤く熟します。この実を鳥が運んできたのが、ここまで育ったのでしょう。
 こんなにたくさんの花が咲くのは、今年初めて。派手さはない、素朴な感じの花です。庭が出来る前はただの雑木でしたが、今では拝観される多くの人に見てもらえるようになりました。
 本当にいい季節ですねぇ。こんな時には、外に出ましょう! 花いっぱいの静かな境内にお越しください!




      春   夕    好   き   な   言   葉   を   呼   び   あ   つ   め          藤田湘子