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           いろいろな色の混ざる境内 / もみじの森は緑一色  マウスを載せれば写真が変わります

 「もうこれであたたかくなるだろう」と思っていたら、今日はちょっとヒンヤリ。昨日26.7度まで上がった気温が、今日は19.6度。動くと汗ばむような気温を体験した体には、少し寒くさえ感じました。
 桜の季節が終わった境内は、また元の静けさを取り戻しました。近所の方が散歩に来られたり、時々、観光に来られる人がおられたり。なぜか、ここ数日、欧米人の姿をよく見かけます。
 境内は、まだ鮮やかな緑になりきらないもみじなどの新緑色と梢に付いた小さな赤い花の色、桜の萼の赤紫色、樟や樫の新芽の色などが混じり合って、かなり複雑な色合い。スッキリした美しさではありません。
 もみじの新芽の緑にも、かなり個体差があります。また、花がいっぱい付いているもみじ、まったく付いていないもみじがあって、一様ではありません。春を迎えるにあたって、それぞれが精一杯に個性を主張しているようで、いのちの深淵さを実感します。


          目にも心にもやさし、もみじ新緑 / 白砂の上に桜蘂   マウスを載せれば写真が変わります
 職員さんが、携帯電話でもみじの新緑を写真に撮っていました。顔を見合わせると、「きれいですねぇ。今は本当に綺麗です」と。普段、そんなことを言わない人なので、少し驚きました。
 そんなきれいな新緑なのに、どうして紅葉の季節ばかりに人が集中するのでしょう? ‘赤’という色の持つ魔力でしょうか? 新緑は、その赤に負けじと劣らず、人の心を清々しくする力を持っているように思います。
 昨日・一昨日の2日間、新入社員の研修があって、700余人のフレッシュマンが境内を訪れました。「今、もみじに花が咲いていますから、ぜひとも見て帰ってください」と説明しましたが、小さな花に気を留めてくれたでしょうか?
 さて、10日ほど前は桜の花びらがヒラヒラと散っていましたが、今はその花びらを束ねていた萼が降る頃となりました。桜の木の下は、萼がいっぱいです。まだ残っていた花びらも混ざっています。
 こんな光景も美しく、季節の移ろいを感じさせてくれます。ただ、掃除は大変。散った花びらはそのうち土に同化していきますが、萼は掃除をしなければいけません。砂利の上に落ちた萼は、掃除しにくくって・・・。掃除しながら、季節を味わいましょう。




      人   去   り   て    さ   く   ら   蘂   ふ   る    石   の   上          大平帆志




               重たそうな八重桜 / 羽団扇楓の花     マウスを載せると写真が変わります
 鐘楼の周りの八重桜が盛りです。正面参道からは見えにくいので、見る人もわずか。「あそこに八重桜が咲いていますよ」と教えてあげても、「もう桜には興味がない」という人が大半です。同じ咲くのでも、‘時期’って、大切ですね。
 この桜、写真に撮っても、なかなか実物通りの色が出ません。朝は青っぽく、夕方は赤っぽく、晴れても曇っても、うまく写りません。
 今日、山吹の手入れをしていたら、通りがかりの人が、「山吹は、やっぱり一重がいいですねぇ」とおっしゃいました。然り。桜もそうかも知れません。椿もそうですね。簡潔、単純の‘美’というのがあると思います。
 ‘裏写真’は、羽団扇楓はうちわかえでの花です。15年前、本堂で鉦張り念仏を奉納された西多摩の玉泉寺さんからいただいたもので、本堂前に植わっています。葉が大きい分、花も大きく、かなり目立っています。
 普通のもみじ、花の木、そしてこの羽団扇楓、それぞれの花にも特徴があって面白いですねぇ。


           白山吹に風薫る / 明るく照らせよ、どうだんつつじ   マウスを載せれば写真が変わります
 自坊の前では、白山吹が清楚な白い花をたくさん咲かせています。新芽の緑色と白い花とがとても美しいです。
 1株いただいたのが最初で、その株に出来た種を蒔いて、今では10株以上が大きくなっています。総門前のお家の方も、種を採って帰って蒔かれたのでしょう。同じように大きくなっています。繁殖力は強いはずですが、他所ではあまり見かけません。
 本堂脇の池の周りに咲く灯台躑躅どうだんつつじが、今年は好成績です。側にある馬酔木のためにした土壌改良や施肥のお陰かも知れません。
 馬酔木もまだまだ見頃です。枝枯れが心配な馬酔木も、今年は花付きがよく、新芽もよく吹いているように思います。
 境内は花いっぱい! 花を探して歩くだけでも、かなり楽しめますよ! 人の少なくなった境内に、ぜひお越しください。




       野  に  出  で  よ   見  わ  た  す  か  ぎ  り   春  の  風         辻 征夫