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                     桜から新緑への境内        マウスを載せれば写真が変わります

 昼間はあたたかく、朝や夜はヒンヤリする日が続いています。歩いている人の服装を見ても、結構バラバラ。安心して薄着になるのは、まだ少し早いようです。
 桜の花もほぼ終わり、新緑の季節へと移りつつあります。
 それでも、まだお花見に回っている人も少なくなく、「あー、もう少し早く来ればよかったねぇ」というような会話がよく聞かれます。
 あちこち回っている人は、「植物園の横のなからぎの道の桜も、少し色褪せてきました。御室は来週初め頃からがいいでしょうか」「急に温度が上がるのは、桜の花にはよくないようです」などと、皆さん、桜にお詳しい。
 皆さん、本当に桜がお好きなようで、桜が散った途端、急に境内の人足が減りました。桜はそれほど好きでもなし、人が多いのはちょっと苦手というボクは、やれやれという感じです。これからお越しになる人は、いわば‘通’。ゆっくり自然を愛でたいという方々が多いです。


               散り残った桜 / これから咲く桜       マウスを載せれば写真が変わります
 桜の花もほぼ散り、桜吹雪を楽しめなくなったのは残念。でも、すぐに‘桜蘂降る’頃になりますから、それは大いに楽しみです。
 桜の蘂が降るのを楽しみにしているのは、ボクぐらいでしょう。掃除は面倒ですし、木の下を歩いていると髪の毛に蘂が‘軟着陸’してしまい、人に「何か付いていますよ」と言われて初めて気が付くなどということもよくあります。地面の色が変わるほどビッシリと蘂が敷き詰められるのも愉快ですし、ボクの頭には蘂は乗っかりません。
 鐘楼の周りの八重桜や小輪の一重の桜も咲き始めました。境内の桜の‘第2ステージ’の始まり始まり〜です。
 人の少なくなった境内、鐘楼の基壇に上がって、八重のピンクの桜の花を目の前にすると、花に包み込まれたような感じで、とても幸せな気持ちになれます。4月中〜下旬の、‘イチ押し’の場所です。
 もう少ししたら、『八重桜開花→』の小さな看板を出して、幸せな気持ちを1人でも多くの人に味わってもらいましょう!




      散  る  花  の  あ  れ  ば   残  花  の  あ  る  こ  と  を          稲畑汀子




             かわいいもみじの花 / 早々と結実、花の木  マウスを載せると写真が変わります
 今は、もみじが花盛りです。
 もみじの花をご存じない方が多く、ご法事で来られた方に、「もみじの花が咲いていますから、ご覧になってください」とお勧めすると、後から「あんな花が咲くとは知りませんでした」と喜んでおられました。
 半分開いた黄緑色の葉と赤く小さな花や花軸の色がない交ぜになって、遠目には‘きれい’とは言いがたい景色ですが、近付いて見ると、葉を開く余力をため込んだ皺の具合と小さく可愛い花が何とも愛らしく、「好きにならずにいられない♪」という感じです。今の‘イチ押し’です。
 また、本堂前の花の木は、早々と実を付けています。‘翼’の付いた実は3センチほどに育ち、5月半ば頃には竹とんぼのようにクルクル回りながら舞い落ちてきます。これがまた愉快で美しい! もちろん、‘イチ押し’です。
 春から初夏に掛けては、特に‘イチ押し’が多い境内です。


             境内の至るところに椿 / 静かに咲くシャガ     マウスを載せれば写真が変わります
 次々と花が咲き続く境内。椿、馬酔木、山吹、シャガ、雪柳・・・。‘予備軍’もいっぱいです。
 椿は実に美しい! 艶のある緑の葉っぱとのコントラストも最高です。
 境内にある椿の品種は30種ぐらいでしょうか? ボクが植えたのだけでも10種類は下りません。写真や解説を頼りに品種を選んで買うため、実際の花を見るのは植えてから。「ん・・・」ということもありますが、ほとんどは「いいねぇ〜」です。去年植えたばかりの椿が、今、蕾を膨らませています。さぁて、どんな花を見せてくれるでしょうか?
 強健で繁殖力も強く、葉も美しいシャガは、グランドカバーには打って付け。適地に植えれば、どんどん増えていきます。緑化や土留めの目的で移植したり、他のものを移植した時に付いてきたりで、いま、境内のあちらこちらでシャガの花が咲いています。派手すぎず、やさしい色使いの花です。
 どんな花が咲いているか数え上げるようなおつもりで、ぜひともお越しください。




       鶯   の     笠   落   し   た   る     椿   か   な           松尾芭蕉