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                    桜から、間もなく新緑へ        マウスを載せれば写真が変わります

 季節が逆戻りしたような、肌寒い日でした。
 気温は、最高15.8度、最低9.8度とそれほど寒いわけでもないのですが、風が強く、一時は10メートル近く吹いて、信号機がグラグラ揺れるほど。体感温度はぐっと下がって、フリースとマフラー姿に逆戻りしたような人も多く見られました。
 天気も、青空が出て晴れたかと思ったらすぐに曇って、時雨れることもありました。
 写真をご覧になると、そんなに荒天だったとは思えないでしょうが、お花見に行こうという気持ちを削ぎ取るような風が吹き荒れた1日でした。訪れる人も桜が満開にしては、少し少ない目でした。


           真っ青なる空と染井吉野 / 終わり近し桜花     マウスを載せれば写真が変わります
 桜の花も盛りを少し過ぎました。今日の大風で散ってしまうほどではありませんが、花の真ん中が赤紫色になってきて、葉も出始めました。花の真ん中の色が濃くなってくるのは、細胞が疲労してくるからだそうですが、今年の桜は疲れるのが早かったような気がします。
 境内の其処彼処で桜が咲いていて、つい10日ほど前の景色とはまるで違います。もみじが葉を広げ始めたので、なおさらです。
 お花見の人出のピークは、明日・明後日でしょうか? 紅葉の時ほどではありませんが、ホテルは取れず、取れたとしてもかなり高額になっているとか。道路も混雑していて、普段通りには移動できません。
 幸い、ボクは混雑の中を出かけて行かなくとも、毎日お花見ができます。でも、ゆっくり春を満喫できるのは、花見の人波が収まった後。これからが楽しみです。




     さ  く  ら  さ  く  ら   香  り  は  ど  こ  に  置  い  て  来  た          松田裕子




              静かに咲く山桜 / これが秘策の不定根    マウスを載せると写真が変わります
 境内の桜で本数が多いのは染井吉野ですが、その他にも、山桜や江戸彼岸があります。境内全体で70本ほどある桜のうち、山桜系は10本ほど、江戸彼岸系は3本ほどでしょうか。
 山桜は花と赤茶色の葉が一緒に出ますので、すぐにわかります。山桜には100種類ほどあるといわれ、自坊にある山桜は、葉が赤茶色ではなく、緑色です。接ぎ木でしか増やせない染井吉野と違って、実生でも増えるために個体差があります。花も長い期間にわたって楽しめ、染井吉野のように一気に咲いて1週間ほどしか楽しめないのではなく、木によって開花時期が微妙にずれていたようです。
 染井吉野は寿命が短く、60年ほどだと言われることがあります。「成長が早いので、その分、老化も早い」という説もあります。でも、染井吉野は秘策を持っているのです。
 染井吉野は老木になってくると幹が空洞になってきたりします。そこに「不定根」という根が出てきて、やがて地面にまで達するとその根が一気に太って、驚くほど樹勢が快復するのです。不定根は他の桜でも出ますが、染井吉野は出やすく、この「不定根」こそが、染井吉野若返りの秘策なのです。
 境内にも若返り中の染井吉野が何本もあります。もう花も終わりかけですから、桜たちの秘策をご覧になっては? 人間にもこんな秘策があったら、喜ぶ人も多いでしょうに・・・。


                 踊り咲く山吹 / ‘ヘンリ−君’       マウスを載せれば写真が変わります
 桜ばかりが注目されていますが、他の花も、次々と咲き出して、百花繚乱状態です。
 馬酔木、山茱萸、椿はもとより、山吹、レンギョウ、シキミ、レンゲ草、シャガ、雪柳や、もみじも早速に花を咲かせています。
 花の写真をアップで撮ろうとしたのですが、風で大きく揺れて、ピントが定まりません。山吹など、連獅子の相舞のようで、ファインダーの中から消えてしまうほどでした。
 ‘裏写真’は「ヘンリー君」。「ロドレイア ヘンリー」という、マンサク科ロドレイアの花。別名「石楠花もどき」です。
 おそらくご覧になったことはないでしょう。まだ日本では珍しい木で、真如堂にも3年ほど前に植えたばかり。やっと、2メートルほどになり、今年はたくさんの花を付けました。
 中国南部〜ベトナム〜ビルマ原産で、香港では旧正月の飾りに欠かせない花とか。どのように飾るのでしょう? 花の付き方や葉・樹姿がシャクナゲに似ているので「石楠花もどき」とも呼ぶということですが、どこが似ているのでしょう・・・。
 桜は終わっても、花の姿が絶えることはありません。様々な花が楽しめる季節、これからが楽しみです!




     野   遊   び   の    二   人   は   雨   の    裔   な   ら   む          河原枇杷男