2/21版 




           裸木に個性顕わ / 扉修理中の本堂を見通す     マウスを載せれば写真が変わります

 今日は、晴れたり、時雨れたり、雪が舞ったり、霰が降ったりの、目まぐるしく変わるお天気でした。日本海側は雪、太平洋側は晴れ。そのちょうど真ん中の京都市内は、どっち付かずの空模様になったのでしょう。
 過去30年間の京都の天気の出現率を見ると、ほぼ「晴れ」ばかり。スカッと晴れた空模様ではないものの、雨や雪があまりないことに驚きました。
 気温は1月下旬〜2月上旬を底に、日に日に上がっていきます。そういえば、明けてくるのがずいぶん早くなりましたし、日が暮れるのもだんだん遅くなっています。まだしばらくは寒いですが、季節が確実に移ろっているのを実感します。
 グルッと境内を一回りして、真っ直ぐ延びている枝、くねくね曲がった枝、病気で瘤の出来た枝などを眺めながら、春とはまだ名ばかりの裸木の景色を楽しみました。




       日  脚  伸  ぶ  と  い  へ  ば  大  き  く  う  な  づ  き  て          京極杞陽





            簡潔な一重の白梅 / ‘紅の群れ’八重紅梅     マウスを載せれば写真が変わります
 梅の便りが、あちこちから聞かれるようになってきました。潔く凛とした雰囲気の、一重の梅の花が好きです。
 自坊前の露地の白梅が、ようやくほころんできました。京都の気象台の生物季節観測を見ると、平年は2月20日の開花。昨年は3月7日と、ずいぶん遅かったようです。それだけ、気温の変動などに影響を受けやすい花なのでしょう。
 この梅の実で、毎年梅干などを漬けます。去年はそこそこ豊作でしたが、一昨年はまったくなりませんでした。結実も、気候の変動を受けやすいのでしょう。
 一重の白梅は控え目ですが、紅梅は遠くからでも目立ちます。境内を歩いて、自坊の前に戻った時、紅い‘塊’が向こうに見えているのに気が付きました。花はまだ5分咲にも至ってないので、満開の時はもっと目立ちます。通りがかりの人が写真を撮るのも、この八重の紅梅に限ります。

             老木の馬酔木の見頃近し / 春見っけ!     マウスを載せると写真が変わります
 馬酔木の花が見頃を迎えつつあります。今まではどこに咲いているかわからないほどでしたが、ようやく白く小さな花が目立つようになってきました。
 しかし、この馬酔木にはここ数年悩まされています。次々と枝枯れしていくのです。今朝も、直径10センチほど、長さ3メートルほども大きな枝を切りました。
 原因はよくわからず、寿命、日当たりの悪さなどを疑って、土壌改良や周りの高木の剪定などをここ数年続けていますが、枝枯れ現象は止まりません。後継木を何本も植えていますが、育つまでにはかなりの年月がかかるので、このままでは初春の見所が一つなくなってしまいそうです。
 春の兆しを求めて境内を探索していて、山茱萸の蕾から黄色い色がのぞいているのを見つけました。山茱萸の花の見頃はお彼岸頃ですが、着々と準備を進めているのですね。
 まだ誰も気が付いていないような小さな変化を見つけるのも、‘春の兆しウォッチング’の楽しみです。


           落ち葉の中にすみれ一輪 / ポツリポツリと咲く椿   マウスを載せれば写真が変わります
 すみれの花も待ち焦がれていた‘春の兆し’一つです。
 毎年、咲く場所は決まっています。先週は咲いていなかったのですが、今日、ようやく一輪見つけました。実に深い色合いです。
 すみれがたくさん咲き、オオイヌノフグリの青い花が目に留まるようになるまで、もう少しかかります。
 先日、ラジオで「左京区真如堂では、馬酔木と椿の花が見頃です」と言っているのを聞いてビックリ! 馬酔木は確かに咲いてはいますが、まだ見頃ではありませんし、椿は種類によって咲く時期がバラバラで、いつが見頃かと特定したことはありません。きっと何かに載っているのを、確かめもせずに流しているのでしょう。ラジオを聞いて見に来てくださった方、ゴメンナサイ。
 椿は咲く時期がまちまちなので、逆にあちこちの木を「咲いているかな?」と巡ってみる楽しみがあります。写真の木は、去年からポツリ…ポツリと数輪ずつ咲いて、長い間楽しませてくれています。
 八重咲きのボテッとした花もあれば、藪椿のように簡潔な花もあります。太郎冠者は華やかな色合いが魅力です。正面参道の下の大きな椿に、たくさんの真っ赤な花が咲くのが、まだまだ先のことです。細々と見頃が続いているとも言えますが・・・。
 来週からは、あたたかい日が続くようになるそうです。また一歩、春が進みますね。



      下   萌   を   踏   む    一   歩   づ   つ   い   と   ほ   し   み          関 弥生