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               冬枝の向こうに三重塔 / 静寂の境内     マウスを載せれば写真が変わります

 今朝はここ1週間では一番寒さが弛んだ朝でした。1週間ほど前から、朝一番に車に乗る時には、まずフロントガラスの凍結を解かさなければなりませんでしたが、今朝は凍り具合が少しましでした。気象台のデーターでは、最低気温は1.9度。でも、境内では場所によって凍結していましたから、0度ギリギリだったのかも知れません。
 自坊の修繕に来ている大工さんの家は、同じ京都市左京区ながら、真如堂から直線距離で20キロほど北の山間の地。「うちは、朝、雪が積もっていたのですが、真如堂に来たら何もなくて助かりました」と天気を喜んでおられました。
 人通りもほとんどない境内。9時頃は晴れ間が多かったのですが、次第に曇り、昼過ぎには少し霰が降りました。
 20日は大寒。寒さにも少し慣れて、今朝程度の冷え込みなら、さほど寒いとは思わなくなってきました。
 19年前の今朝、阪神淡路大震災が起きました。あの朝の揺れを今でも思い出します。京都は震度5。長い揺れでした。犠牲になられた方のご冥福をお祈り申し上げます。



      木   霊   の    吐   息   の   し   づ   く    冬   木   の   芽          林 裕子





               華やかに南天の実 / 草むらに宝物     マウスを載せれば写真が変わります
 あまりに境内に‘色’がないので、いたずら心で、本堂前の手水のところに南天を一枝さして見ました。梶井基次郎の『檸檬』のような心境です。大きな蹲は南天の真っ赤な実に彩られて一気にパァッと明るくなり、どんよりした空気が吹き飛んだ気がしました。
 赤い実は早速人の目に留まったようで、外国人がカメラを向けていました。「これが日本の風習だ」と思われても困りますが・・・。
 「そういえば、龍の玉が綺麗だったんや!」と思い出し、‘玉’を目指しました。どの季節に、どこで何が咲いているか、どんな実がなっているか、勝手知ったる境内です。ありました、ありました、綺麗な碧い碧い実!
 絵や彫刻の龍の持っている玉は如意宝珠なのだとか。如意宝珠を使えば龍の物欲はすべて満たされてしまうので、龍はその珠を手放すことができず、永遠に欲望から離れられないで悟ることができないのだそうです。この実が「龍の玉」と呼ばれるようになったのには、そんな深遠な物語が関係しているのでしょうか? 子供の頃のボクにとってこの玉は、ただの豆鉄砲の‘弾’でした。
 彩りの少ない冬には、草に埋もれるこんな小さな実さえ、宝物のような存在。この実をリングに付けて、愛する女性の指を飾ってみたくなりません?

            甘くて美味しそう、蝋梅の蕾 / 咲き進む水仙   マウスを載せると写真が変わります
 蝋梅の花がほころんで来ました。まだ香り立つまでには至りませんが、蕾を見ているだけでも香りがイメージできます。梅干を見て生唾が湧くようなものでしょうか? 花自体はそれほど美しいとは思いませんが、香りは超逸品です。
 水仙の香りも大好きです。鐘楼周りの水仙の花の数が、また少し増えてきました。何度も書きましたが、数年越しで育てている水仙ですから、たくさん開花するのがうれしくてなりません。また花泥棒が出没するかと思うと、気が気ではありませんが・・・。
 大寒間近の凛とした境内。「な〜んにもないなぁ」と思いながら、失せ物を探すようにあちこち見て回るのが好き。他の季節にはない、冬ならではなの楽しみです。




     ひ  と  つ  ぶ  の   瑠  璃  こ  ろ  げ  い  づ   龍  の  玉          飴山 實