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           朝日さす薄ら雪の境内 / 雪の付いた枝に朝日   マウスを載せれば写真が変わります

 予報通り、今朝起きて窓の外を見ると、うっすら雪が積もっていました。今季初の積雪です。
 明るくなるのを待って境内へ行き、カメラのスイッチを入れましたが無反応。何度やってみても、何も起きません。「しまった! バッテリー切れだ!」と自坊に戻って充電しましたが、雪は充電が終わるのを待ってくれません。仕方がないので、新しいコンデジに持ち替えて、もう一度境内へ向かいました。
 思ったよりも雪はなく、屋根の上と木々の枝と葉にうっすら積もっているだけ。‘雪景色’というには、雪が少な過ぎて中途半端。
 でも、幸いにお天気がよくて、サァーッと朝日が差してくると、木々の枝に積もっている雪がキラキラ輝いてとても綺麗! いつものカメラが使えないことを悔やみましたが、見たように撮れるわけでもなし。
 雪景色の写真を撮りに来る人もなく、ひっそりと静まりかえった、いつもながらの冬の朝の境内でした。


              一緒にいれば寒くない? / かすかに雪化粧    マウスを載せれば写真が変わります
 グルッと境内を回りましたが、景色はいつもとあまり代わり映えしませんでした。ちょっと雪に期待しすぎました。
 カメラの充電が終わった午後、もう一度境内を回りましたが、雪はもうすっかり消えて、なおさら普段の冬の境内。
 大阪から墓参に来られた男性に、「京都はお寒いでしょう?」と聞くと、「寒いですけれど、ピシッとする感じです。凛とした空気が好きです」とおっしゃいました。その通り!! それが他の季節では体験できない、冬の境内の醍醐味の一つ。
 雪に水分を補給してもらった苔はとても元気そうでしたし、屋根から時おり落ちてくる水滴に光が当たって、とても綺麗でした。




      雪   晴   の    大   地   に   応   へ   た   る    光           稲畑汀子




          自ずから掌を合わせる比叡山 / 近く見えた愛宕山   マウスを載せると写真が変わります
 今朝、最も心を動かされたのは、境内の景色ではなく、境内から見た山々の神々しい姿でした。
 真如堂の北に見える比叡山、遠く西に見える愛宕山が、時おり雪雲がかかって全景が見えなくなったりしながらも、光を受けて輝いて見えました。
 愛宕山は京都市内から見える山の最高峰(924m)。比叡山がそれに続きます(848m)。その昔、比叡山と愛宕山はお互いに「自分のほうが背が高い」と喧嘩をし、 比叡山が愛宕山を叩いたところタンコブができて、 その分、愛宕山が高くなったといわれています。共に信仰の山です。
 真如堂の御本尊阿弥陀如来も、最初はこの比叡山の奥地、横川の常行堂におまつりされていました。ある時、東三條院(一条天皇母)と真如堂開祖戒算上人の夢枕に一人の老僧が立ち、「私を都に降ろして欲しい」とお告げになりました。それに従って御本尊は京洛に降りて来られ、真如堂が建てられたわけです。
 法然上人も比叡山から下りて来られた時には真如堂をお参りされ、その弟子である親鸞聖人もやはり真如堂に参詣ました。
 本堂の北側からは、その比叡山が見えます。御本尊の由来など、歴史に思いを馳せながら見る比叡山は、なおさら神々しく見えました。
 さぁ、寒さはこれからが本番。雪が降ると移動に困りますが、あまり忙しくない日なら大歓迎! 節分の頃には雪景色が堪能できるでしょうか? お風邪を召されませんように。




      比  叡  あ  た  ご   雲  の  根  透  け  り   村  時  雨          池西言水