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              枝に残った紅い葉と種 / どんより       マウスを載せれば写真が変わります

 夕方から雨が本降りになってきましたが、雪になるほど冷え込みませんでした。でも、明朝の予想気温は氷点下。かなり寒くなるようです。
 3日前に更新したばかりなので、境内の景色はほとんど変わっていません。変わったのは、落ち葉掃除が少し進んだことぐらい。今から春までは、動きの少ない境内です。
 訪れる人はまばら。拝観される方も、ここ数日で1桁台まで落ち込みました。余計に寒さが募ります。
 家族連れで、勝手知ったる境内を歩いておられるのは墓参の方。丁寧な方は、年末に墓所の掃除をしてお正月に備え、年始にお参りをされます。お正月には出かけるので、今のうちにお参りしておこうという方もおられます。明日からお休みという方も多いので、墓参の方が日に日に目立つようになるでしょう。


             大晦日には賑わう鐘楼 / 遮るものがない   マウスを載せれば写真が変わります
 1ヶ月前は紅葉の盛りで、人もいっぱい。華やかで賑やかな境内でした。次第に境内の色の数が減って、常緑樹の緑の他は、枝を落とした樹皮の色、土の色、石の色、建物の木や瓦の色と、指折り数えられるぐらい。次第にモノトーンに近付いています。歩いている人の服も、黒っぽい色が多くなりました。
 この境内にワァーッと人が来られるのは大晦日の夜。除夜の鐘を撞きに来る人たちです。老いも若きも、日本人だけではなく外国人もたくさんお越しになります。
 若い人や外国人には、除夜の鐘を新年のカウントダウンのイベントのように思っている人も少なくありませんが、今年亡くなったご家族に思いを馳せてお越しになったり、健康や厄除けなどを祈願するつもりでお越しになる方もおられます。鐘を撞きに来た一人ひとりに、様々な思いを感じる除夜です。
 数年前の大晦日には、何度も雪かきをしたことがありました。鐘が撞き終わるまでは、ずっと鐘楼にいなければなりません。どうか寒風吹きすさぶことなどがありませんように。



       念  々  と  次  の  音  を  待  ち  除  夜  の  鐘          加倉井秋を



       ま  た  一  つ  風  の  中  よ  り  除  夜  の  鐘          岸本尚毅



                野仏と白椿 / 寒椿?の垣根       マウスを載せると写真が変わります
 紅葉の頃から新緑の頃まで順繰りに咲くのは椿。種類によって咲く時期が違うので、いつが見頃だとは言いがたい花です。
 以前、タウン紙の女性記者と、境内の花を、やれ山茶花だ、いや寒椿だといって口論したことがありました。その記者は後から同級生だとわかったのですが、向こうは端から知っていたのです。
 山茶花と寒椿の区別が、いまだにわかりません。咲く時期や樹形・樹高などで大体は区別できるのですが・・・。いま、そのどちらかの紅い花が、境内でひときわ目立っています。
 ‘普通’の椿で今咲いているのは白色ばかり。それぞれ2メートル余ある木で、数本が咲いていますが、あまり目立ちません。しかも、綺麗な白ではなく、咲き始めから部分的に茶色くなってしまっています。病害虫や生育条件、日照などの影響のようですが、せっかくの白椿なのに残念です。


               冬の紫陽花 / 彼岸花の冬葉      マウスを載せれば写真が変わります
 鐘楼周りの水仙の咲き具合を見に行ったら、摘花し忘れた紫陽花の花が微妙な色合いになっていました。ドライフラワーにしてしまうと色が抜けてしまいますが、こうして自然に枯れていくまで放っておくのもいいものです。手折らずにそのままにして、この花の行く末を見てみたいと思います。
 もみじの落ち葉掃除が進んだ草むらでは、彼岸花の葉が元気よく光を求めて広がっていました。葉が落ちて日を遮るものが少なくなった時期に、こうして葉を広げるのが、彼岸花の‘戦略’です。でも、多くの人は木の葉が彼岸花のものであることにお気づきにならないでしょう。
 植物たちの冬の様子からは、様々な工夫や戦略が見えてきます。土や苔の下からは虫が出てきますし、その虫を目当てに鳥がやってきます。木の幹などには、春を待つ虫の卵が産み付けられています。それを見て回るだけでも十分楽しめる冬の境内は、パラダイスです!
 今年最後の更新となりました。「また、同じようなことを書いている」と我ながら思いますが、文章や知恵が泉のように湧くじゃなし。行間を埋めるためには致し方ありません。でも、書くことによって「あっ、そうだ!」と自分で再確認し直して、翌日、境内に確かめに行ってみるなどということもあり、このページを作る作業はボクの頭の活性化に役立っています。1年間、お付き合いいただき、ありがとうございました。
 来る年が皆様にとって幸多き年となるように祈念して、今年の締めくくりとさせていただきます。



      う  つ  く  し  や   年  暮  れ  き  り  し   夜  の  空          小林一茶