12/24版 




                       冬の木は楽し          マウスを載せれば写真が変わります

 どんより曇った冬空になる天気予報でしたが、少し外れて、晴れ間ものぞく、まずまずのお天気でした。
 でも、この季節は晴れていると思っても小雨がパラつくことが往々にしてあります。「しぐれ」は京都の冬の風物詩。北西の季節風に乗った対流雲が日本海のほうから京都盆地に吹き込んで、小雨を降らせるのです。晴れていてもパラパラと降ることも多く、ほとんどは傘をさすほどではありません。今日もそんなお天気でした。
 ここ数日、北山や比叡山、西山などがうっすら白くなりました。でも、平地では雪がちらつくことはありませんでした。大文字山が白くなると、真如堂でも雪が舞います。1年で一番寒いのは1月下旬から節分に掛けて。寒さはまだ序の口です。


           遠くまで見える冬の境内 / いつ掃除しましょう?   マウスを載せれば写真が変わります
 すっかり静かになって、心落ち着く境内が戻って来ました。
 枯れたまま枝にしがみついているもみじの葉や種もありますが、ほとんどはシンプルに枝だけになりました。
 冬に木の形、枝ぶりを見るのが、ボクは大好きです。それぞれの木の性が、装飾を排し、静かに現れています。あるものは真っ直ぐに、またあるものは屈曲して、光を求めて伸びています。
 あの賑やかだった紅葉の季節が嘘のよう。紅葉だけ見て、この木の姿を見ないのは、ずいぶん損をされていると思います。もちろん、春の新緑の景色も。木々たちが1年をどのように過ごしているかを知っていると、紅葉を見た時の深みや感慨はまるで違います。
 惚れ惚れするような、面白く愉快な木々の形です。ボクは、‘ツリーおたく’かも知れません。
 冬は時間の流れもゆっくり。落ち葉掃除もそれほど急ぐでもなし。掃除をしたつもりでいても、風が吹けばまたどこからともなく落ち葉が現れるので、掃除がほぼ終わるのは1月中頃。訪れる人も少ないですから、好きな時に好きなように掃除ができます。




      冬   木   立    お   と   ぎ   の   国   へ    続   く   道          松永静子




           控え目で可憐な十月桜の冬花 / 日の当たる水仙  マウスを載せると写真が変わります
 10月頃から咲き続けている自坊の桜。その名も「十月桜」。今日はその花が青空に映えていました。
 Wikipediaでは、「花が4月上旬頃と10月頃の年2回開花する」と説明されていますが、正確な表現ではありません。10月頃に開花し始めた後、冬の間も小さい花が断続的に春まで咲くといったほうがいいでしょう。
 春に咲く花に比べると、秋や冬の花は小さいですし、ちょっと季節外れの印象もしますが、寒風の中にたくさん咲いている姿を見るとうれしくなります。
 鐘楼の周りの水仙も、開花はまばら。一昨年に植えたばかりなので、株と株の間が空いていますが、各地の水仙の名所のように大群落になって、一面に花を咲かせてくれる日が早く来ないかと楽しみにしています。


             石崖に垂れる野路菊 / 眠い眠い冬の猫      マウスを載せれば写真が変わります
 秋の名残の野路菊が、まだ咲いています。株によっては、花が茶色くなって葉も黄ばんでいますが、中には往時と変わらないほどの咲きっぷりのものもあります。こんなに綺麗に咲いていては、まだ切って整理できません。
 今年100株以上植えた野路菊も、来年はさらに大きくなってくれるでしょう。野路菊の大群落がある兵庫県姫路市の大塩は、野路菊で山の斜面が白く見えたほどだったとか。秋になると真如堂の参道が野路菊で真っ白になる。真っ赤な紅葉のトンネルに真っ白な参道・・・いいですねぇ。
 冬の間にいろいろイメージを膨らませてプランを練り、いろいろな苗木を買ったり、寒肥を与えたり。冬は草木にとっても、ボクにとっても、‘貯金’の季節です。
 ご自分の時間とスペースが持てる冬の境内へ、どうぞお越しください。




      冬   猫   の   眠   り   の   渦   の   中   に   耳         小檜山繁子