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              煉瓦色の敷き紅葉 / 残り紅葉     マウスを載せれば写真が変わります

 ここ3日ほど、お天気も良くて、さほど寒くない日が続いています。
 絶好の紅葉狩り日和なのですが、今週に入って人の足はパッタリ止まり、境内も日に日に空いてきました。時折、予定が変更できないツアーが訪れ、その一瞬だけ境内が賑わいます。
 紅葉が終息気味だという情報が、最近はインターネットなどでリアルタイムに得られるため、個人の方などの来訪がめっきり減ったのでしょう。
 この土曜日には、真如堂の紅葉がテレビの旅番組で流れる予定ですが、時既に遅し。映像的にも2週間以上も前のものなので、もうまるで季節が違った感がするでしょう。
 人が多いのは苦手だとおっしゃる方には、少々色褪せ気味の紅葉ですが、ゆっくりとお楽しみいただけます。


           枯葉を化かす光の技 / 今の境内一のスポット   マウスを載せれば写真が変わります
 今年の紅葉は、例年並みに始まりましたが、途中から一気に駆け足になりました。駆け足でもきれいならばよかったのですが、色はあまり冴えず、カラカラに乾いたようになってしまいました。おそらく、秋の少雨の影響でしょう。
 日が当たると、紅葉しているように見えるのですが、近づいて見てみると、カラカラに乾いて赤茶色くなった葉が付いているのです。枯葉が、木にいっぱい付いたまま落ちないで残っているのです。しかも、そんな木がいっぱい。
 本堂裏の、いつもなら‘レッド・カーペット’になる場所も、今年は赤茶色い枯葉が敷き詰められたようになっています。「12月に入ると、本堂の裏がきれいですよ」とお勧めしていたのに・・・。
 仕方がないですね。こんな年もあります。紅葉がきれいなのは10年に1度程度。あの夏の暑さ。そしてスコールのような雨。一気に多量に雨が降っても、地面に染み込んでくれません。11月の雨量も平年の1/5程度でした。因果応報。なるべくしてなった、このカラカラの葉っぱです。

             大きくて真っ赤な葉 / 紅葉となまこ壁     マウスを載せると写真が変わります
 こんなにけなしておいて今更ですが、紅葉は出会いです。時間や光の当たり具合、見る人の気持ちによっても、見え方は様々。カサコソと落ち葉を踏みしめながら一緒に歩く相手が恋人だったら、さぞかし素晴らしい時間になるでしょう!
 どうか目も覚めるような美しい紅葉を探すつもりで、境内を歩いてみてください。きっと、「わぁー!」という光景に出会えるはずです。天気がよければもちろんですが、しっとり雨に濡れた落ち葉もステキです。
 境内に約300本あるもみじ。その中の1本、1枝が、きっと今季最高の輝きで迎えてくれることでしょう。ぜひ、時間を掛けて、ゆっくりと境内を散策なさってください。




     た  ま  し  い  の   ひ  と  つ  が  透  け  て   冬  紅  葉         津根元 潮





          北参道の菊と紅葉と町並み / 2年目の野路菊    マウスを載せれば写真が変わります
 紅葉で‘満腹’になった時、この白く素朴な菊を見ると、何だかホッとします。実にいいですねぇ〜
 今年はこの野路菊を100株以上植えました。北参道の石垣の上から垂れ下がるように咲く姿。黒谷(金戒光明寺)に通じる道、約50メートルの間には、まだ小さいながら野路菊の花がずっと続いています。
 先日、ある華道の家元が、野路菊を一枝欲しいと言ってこられましたが、「まだ植えたばかりの株で、一枝切ってしまうと、その場所に花がなくなりますから」とお断りしました。家元ならばどんな菊でも入手できるでしょうが、こんなに素朴で自然な菊は買えないことをわかっておられたのでしょう。さすがです。
 その野路菊の花も峠を越しました。「一株いただけませんか?」という方もおられるので、来春にはまた挿し芽をして増やさなければ! そのうち、「紅葉と菊の寺 真如堂」と言われるかも知れません。
 落ち葉掃除が本格化して、境内のあちこちに落ち葉の山やそれを入れた袋が目立つようになってきました。人影がまばらになり、落ち葉を集めるブロアの音が境内のあちこちから聞こえてくる季節も間近です。
 そんなひっそりとした真如堂がお好きな方、もう少しお待ちください。




      紅  葉  々  を   ち  ら  し  か  け  て  や   残  る  菊           立花北枝