11/29版
今季一番の冷え込みとなりました。今朝の最低気温は気象台で1.6度。境内ではおそらく0度台だったでしょう。夜中に寒さで目が覚めました。
例えば、自坊の前にある無患子は、毎年、見事な黄金色の紅葉をもみじに先駆けて見せてくれるのですが、今年はくすんだ褐色のようになって散っていきました。本堂前の、三重塔を紅葉越しに見せてくれる真っ赤なもみじも、今年は色が冴えないまま終わりつつあります。12月初旬に‘レッドカーペット’を見せてくれる本堂の裏も、今年は見られなさそうです。 初めてお越しになる人にはわかりませんが、毎年見ている者にとっては、ちょっと期待外れ。朝、落ち葉掃除をしていると、毎年紅葉を見ている散歩の人たちの、「今年はもう一つでしたねぇ」などという評が聞かれます。 それでも、朝な夕なに「ハッ!」とさせられることもしばしば。そんな瞬間に、ぜひ出会ってみてください。 紅 葉 散 る 音 立 て て 散 る 立 て ず 散 る 星野立子
いつ美しい景色に出会うかわかりませんので、カメラは片時とも手放せません。 書院の「涅槃の庭」に行ってみると、朝の斜光に砂紋が際立って見えました。借景の東山にはポツリポツリと冬色をし始めた木々が見えました。かつてはもっともっと色の移り変わりが楽しめた東山も、「ナラ枯れ」で山容が少し変わってしまい残念です。 あと30分もするとこの庭も人でいっぱい。静かで人のいない畳の上に腹ばいになって、写真を撮るのに興じました。
境内のあちらこちらでは、白い野路菊が情趣いっぱいに咲いています。 北参道に垂れて咲く様子や、黒谷に通じる参道にまだ小さいながらもズラッと並び咲く景色は、‘紅’に飽きた目をリフレッシュさせてくれます。何よりも、花屋には置いてないような野性味溢れる様子が何とも可憐です。 来週のこのページは、冬景色が幅をきかせるようになっていることでしょう。ぜひともお早めにお越しください。目にも鮮やかな最後の紅葉が、皆さんを迎えてくれるでしょう。 た ま し ひ の し づ か に う つ る 菊 見 か な 飯田蛇笏
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