11/1版 




       もう見頃? 赤いのはもみじではありません / 肩越しの木々 マウスを載せれば写真が変わります

 11月最初の日は、爽やかな秋晴れの日となりました。午前8時から午後5時までの日照時間は、なんと8.9時間。ほぼ完璧な快晴でした。
 晴れた時の木々の色は、何とも美しい! 日の光で葉を透かして見ると、緑はなおいっそう緑に、赤は透き通ったような赤に見えます。
 今日の日中はほとんど寺にはいなかったのですが、そのわずかな時間で素晴らしい景色を堪能できました。丸1日居たら、‘満腹’になって、カメラのメモリは、きっといっぱいになっていたでしょう。
 いつも境内で一番早く紅葉のピークを迎える「花の木」は、梢の天辺が真っ赤になって、葉を散らし始めています。下の方はまだ緑色で、この赤と緑の対比が、この木の紅葉の妙でもあります。でも残念ながら、かなりの枝が枯れ込んで昔のような円錐形の樹形ではなくなり、上から赤〜黄〜緑の何とも言えないグラデーションを見ることも近年なくなってしまいました。それでも、この木は真如堂の紅葉を象徴する名木です。


            本堂裏はまだまだ緑 / こっちは今月末が見頃    マウスを載せれば写真が変わります
 今年は夏の日照時間が全国的に長く、冷え込みもありそうなので、例年より美しい紅葉が見られると予想されているようです。時期的にも早いとか。
 確かに、例年よりもいいとか悪いとか、早いとか遅いとかはありますが、一番はタイミングだと思います。同じ葉っぱでも、天気や時間、日の当たり方によって、まるで見え方が違います。
 ボクなどは地の利がありますから、その木その木の最高の瞬間に出会えるよう、1日何度でも境内を見て回ります。緑でも美しいし、緑と赤のない交ぜの時も何とも言えません。真っ赤は真っ赤の良さがあります。
 たとえ絶頂期を外してしまっても、天気や時間、日当たりなどの条件さえ整えば、絶頂期以上の紅葉に出会えます。
 境内は、1/3程度のもみじがようやく色付き始めたばかり。まだ緑色のままの木も少なくありません。焦らないでくださいね。まだまだです。



       今   日   よ   り   は    十   一   月   の   旅   日   記          星野立子




              野趣溢れる野路菊 / 赤と黄の千両      マウスを載せると写真が変わります
 挿し芽で増やして境内のあちこちに植えた野路菊が、あっちで咲き、こっちでほころび始めました。苦労をして育てた者にとって、冥利に尽きる瞬間です。
 酔芙蓉や藤袴とはまた違った、白く清楚な野路菊の花。豪華さはなく、野趣にあふれて、どちらかというと‘清貧’の感が漂います。
 垂れ下がって咲いているため、時々‘事故’で折れたりもしますが、見かけ以上に強靱です。盛りはこれから。楽しみです。
 あと1週間もすれば立冬ですが、季節の移ろいを感じるのは紅葉ばかりではありません。南天は少し赤くなってきていますし、千両はもう真っ赤。色だけ見ると熟しているように思えますが、正月明け頃まで鳥が食べないところをみると、まだ美味しくはないのでしょう。
 気が付けば、椿や山茶花なども咲き始めていました。紅く染まっていく境内の中で、白い椿の花は一服の清涼剤になってくれるでしょう。水仙の葉も顔を出していました。今年はどれだけ咲いてくれるだろうと、今からワクワク、ドキドキです。
 初めて境内を訪れる人にはわからないと思いますが、‘次の準備’‘その次の準備’にも、境内の草木たちは余念がありません。それを見て回るのも毎日の楽しみです。
 連休、まだ人の少ない境内で、ゆっくりお過ごしください。




     萩   刈   り   て    風   の   行   方   の   定   ま   ら   ず          柚口 満