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           緑でも紅でもない木々 / こっちはまだまだ緑  マウスを載せれば写真が変わります

 台風が通り過ぎて、また一気に涼しくなり、今朝はこの秋一番の冷え込みとなりました。つい先日までの暑さが嘘のようです。
 台風の被害は、関西ではほとんどありませんでしたが、関東、特に伊豆大島の惨状を見るに、心が痛みます。すぐにでも駆けつけて、泥かきでも手伝いたい気持ちです。
 今年は天災の多い年となりました。来週もまた台風が近付いてきそうです。これ以上の被害が出ないことを祈るばかりです。
 この台風では、小枝さえ折れませんでしたが、境内では桜の葉が散り続けているので、毎日の掃除は必須です。でも、もみじはまだほとんどが緑で、この緑があと1ヶ月で紅く変わっていくのが信じがたい雰囲気です。
 「今年の紅葉はどうですか?」「いつ頃がいいですか?」という問い合わせが増えたり、現実離れしたように赤く加色された紅葉特集の雑誌が送られてきたりと、周りから紅葉シーズンの近付きを意識させられます。


            夕暮れが見頃の花の木の一種 / 巻雲と紅葉    マウスを載せれば写真が変わります
 紅葉はまだまだですが、今の境内で一番色付いているのは、元三大師堂の前にある花の木です。
 昼間などはそれほど紅いとは思いませんが、お天気のいい夕方、西日が差して葉を透かし始めると、「こんなに紅かったの!」と驚くほど色付いています。
 紅葉の美しさは、葉の紅さと太陽の光の共同作業。いくら葉が紅くなっても、それだけでは決して美しくは見えません。
 刻々と沈みゆく日の光、美しく照らし透かされた葉、その一瞬に立ち会えた自分。同じ景色には二度と出会えないという唯一無二の瞬間。そう思いながら、景色に引き込まれていくうちに、日が傾き、景色が変わっています。
 緑と紅、両方の景色が楽しめるのが今の季節かも知れません。そして、その移り変わりを毎日楽しめるのは、とてつもない‘特権’だと、有り難く思います。



     木   に   は   木   の    人   に   は   人   の    秋   の   暮          原田 喬




             ポツリと十月桜 / 力振り絞って酔芙蓉咲く     マウスを載せると写真が変わります
 今夜は十三夜。今、外に見に行きましたが、お月さんは薄雲の中。ぼんやり輪郭がわかる程度でした。ひんやり寒くて、ゆっくり月を愛でようという気にはなりませんでした。
 今年はいつまでも暑かったせいか、例年よりも遅く、ようやく十月桜が咲き始めました。
 桜の帰り花が咲いているという話を今秋も何回か聞きましたが、これは帰り花ではなく、本来咲く時期に開花している‘真っ当な’花。だからこそ、「十月桜」の名が付いているわけです。
 珍しくはありますが、花は小さく、ポツリポツリと次々咲いていくため、あまり存在感はありません。これからずっと咲き続け、4月には今よりも少し大きな花を咲かせます。
 酔芙蓉の花もそろそろ終盤。花が小さくなってきました。
 冬に切り戻した枝が、夏を迎える頃には、株によっては3メートル以上にも育つのですから、その成長力には驚かされます。ただ、今年のように台風が度々やってくると、風に煽られて枝が避けたりしないかと、その都度心配です。
 花泥棒にピリピリした時期もありましたが、長い間、朝な夕なに楽しませてもらいました。霜降の頃にはお別れでしょう。
 気が付けば、10月も半ばを過ぎました。お風邪を召されませんように、ご自愛ください。




     屋   根   を   と   ぶ    猫   の   鈴   澄   む    十   三   夜          増田富子