9/26版
北風が1日中吹いて少し涼しい、爽やかな秋の日でした。
でも、萩は微妙に咲き進み、彼岸花はほぼ終わろうとしています。 カメラを持った人が多いのは、やはりタウン紙に萩の名所として掲載されたからでしょうか? そんな写真を撮りに来ていた人から、「この花は何という名前ですか?」という質問を2回受けました。お一人は木槿を、もうお一人は酔芙蓉でした。「えっ、花の写真を撮っておられるのに、名前もご存じないのですか?」と、思わず口からでそうでした。 まだ彼岸の最中だというのに、自坊を抜け出して写真を撮っていたら、何人もの檀家の方に出会ってしまい、ちょっとばつが悪かったです。 風の強い日に萩の花を撮るのは大変です。風に揺れている様を撮るには、萩の花は小さすぎますし。ファインダーを覗いていて、酔いそうになりました。
園芸店などでも「フジバカマ」と表示された鉢植えなどが販売されていますが、ほとんどは雑種。真如堂の藤袴は‘原種’で、環境省のレッドリストで準絶滅危惧(NT)種に指定されている貴重なものです。 万葉集に秋の七草として歌われ、古の女性たちは乾燥させた藤袴を香袋に入れて、十二単にしのばせていたようです。生のままではほとんど香りがしない藤袴ですが、乾燥させるとその茎や葉に含有されている成分が桜餅の葉のような芳香を放ちます。そんな香りのする女性が隣に座っておられたら・・・そう想像すると、ドキドキしてきます。 朝は白く夕方は濃いピンクになる酔芙蓉の色の変わりようは、毎日見ていても飽きません。今は一日花の酔芙蓉も、もう少し涼しくなると、2日かけて咲き、色も2日掛けて変わっていきます。 今日の夕方の酔芙蓉は、青空と黒雲を背景に、ちょっと不気味。中国では酔芙蓉を酒に酔って頬を染める楊貴妃の美しさに喩えたりするようですが、不気味な空の取り合わせはかなり妖艶に思えました。 今日、挿し芽で増やした酔芙蓉を、総門前に定植しました。来年は、きっと大きく育って、美しく咲いてくれるでしょう。また、境内の花が増えちゃった・・・。花いっぱいの真如堂へどうぞ! お風邪を召されませんよう、気温の変化にご注意ください。 想 ひ ご と ふ と 声 に 出 づ 藤 袴 永方裕子
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