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薄曇りの1日でした。
境内がカラカラに乾いていくのを見て、「効果があるなら、雨乞いでもしたい」と本気で思いました・・・「効果があるなら」なんて思っているようではダメですね。 降りしきる雨の有り難いこと。長い時間掛けて水撒きをしても、雨の足元にも及ばない無力感。水を撒くことを考えなくてもいいということだけで、どれだけストレスが減ったことでしょう。ありがたや、ありがたや・・・。 鐘楼の周りと本堂裏の宝蔵付近の紫陽花たちも、生き生きとして美しい姿を見せてくれています。 よほど観察力がある方なら気付かれるかも知れませんが、実は植わっている紫陽花の品種が少し偏っているのです。 紫陽花を植え始めたのは、もう15年以上前でしょうか。三重塔付近と鐘楼の東側の斜面でした。自坊にあったり、花材としてあったような品種を挿し木で増やして植えたので、わずか4〜5種類でした。いま、鐘楼の東側で大きくなっているのはその時に植えたもので、「渦紫陽花」や「城ヶ崎」などに偏っています。 自分で見ても、「同じ種類がかたまっているなぁ」と思いますが、「ここから植え始めたのだ」という‘起点’のような場所です。
紫陽花の多くは土壌のpHで花色が変わりますが、鐘楼周りはブルーがち、宝蔵の北側はピンクがちの花が目立ちます。境内は基本的には酸性土壌ですが、宝蔵の北側はかつて焼却炉から出た草木灰を捨てる場所でした。ですから、アルカリが強いわけです。 pHだけですべての紫陽花の花色が決まるのならわかりやすいのですが、品種によっては、pHの影響を受けないものもあります。ですから、濃いブルーの花の横に鮮やかなピンクの花が咲いていたりします。 同じ品種でも色が違ったり、生まれつきの色を主張する品種があったりで、だんだん何が何だかわからなくなってきました。まっ、いいか! それにしても、同じ花で青みがかった部分とピンクがかった部分が同居した花があります。これはどうなっているのでしょう? 紫陽花の色が咲いた後で次第に変化していくのは細胞の老化が原因だと言われます。半分は老化が早く進んでいるのでしょうか? それとも微妙なpHのせいなのでしょうか? そんなこんなを楽しみながら、まだ育成中ですが、紫陽花園へお越しください。
総門内の駐車場に植えられた木槿は10種類ほど。一重、八重、白、桃、紫など、いろいろな花が楽しめます。 今年は、木槿が元気なように思えますし、いっぱい蕾が付いています。ただ、うどんこ病が発生したのか、葉がうっすら白くなったので、今日は薬散をしました。 これから9月までの暑く長い間、ずっと綺麗な花を楽しませてくれるでしょう。 三重塔の南西側には、1センチほどの実がたくさん落ちています。先日来、この実を拾ってポケットや鞄に入れ、本堂の受付などで、「これは何の実ですか? 菩提樹ですか?」と尋ねる人が何人もおられました。 「それは銀杏ですよ。拾わないほうがいいですよ! 実の付きすぎや、木を健全に維持するために、今の時期にたくさんの実を落とすのです」と説明すると、「食べられないのですか?」と聞く人もおられます。もちろん、熟していないので食べられません。秋までお待ちください。 季節折々に、面白く楽しいことがいっぱいあります。知れば知るほど、観察すればするほど、その面白さはアップします! 子供のような気持ちで、境内をグルッと一回りしてみてください。 雨もまたよしです。 紫 陽 花 や 赤 に 化 け た る 雨 上 り 正岡子規
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