6/21版
カラカラ天気が打って変わって梅雨らしい雨模様。この3日間で、100ミリ以上の雨が降り、ようやく境内が潤ってきました。
菩提樹がワァーッと咲いてサッと終わっていく花だとすれば、沙羅は毎日少しずつ花を咲かせ終わっていくことを繰り返す花です。 真如堂の場合、菩提樹を見に来る人はいても、沙羅をわざわざ見に来る人はいません。「来たら咲いていた」という予期せぬ出会いかも知れません。また、先日お目に掛かった人は、「うちにも植えてあります」とおっしゃっていました。最近は、「夏椿」として園芸店でも売っていますし、洋種の夏椿も出回っていますから、好んで植える人も多いようです。 先週花盛りだった菩提樹は、もうすっかり結実して、花が実に置き換わっています。すごい早技です。 今はいっぱい付いている実ですが、もうしばらくすると一気にたくさんの実を落として身軽になり、選ばれた実だけを大きく育てていきます。熟して茶色くなったこの実は、紅葉の頃に参詣者の垂涎の的となり、杖で叩いて落とされるという災難に遭うこともしばしば。そんな‘大人’が増えてしまいました。
菩提樹はお釈迦さまがその樹下で悟りを開かれたという樹ですが、同じ‘菩提樹’でも、この二つの木は似て非なるもの。共通点といえば、実がなることと、無理をすればその実で数珠を作れることぐらいでしょうか? 両方とも小さな実なので、作ったとしても腕輪念珠程度。皆さんが「菩提樹の数珠」と聞いて思い浮かべられるのは、他の木の実です。 自坊の‘菩提樹’は「栴檀葉菩提樹」とも呼ばれていますが、これは葉が栴檀の葉に似ているからで、正式な名前はムクロジ科のモクゲンジです。英名で「Golden rain tree」と呼ばれるそうですが、その名の通り、今は金色の花びらを降らせ続けています。 境内には、他にもモクゲンジがあります。鐘楼の前にあるのは「オオモクゲンジ」。モクゲンジとは葉の形も花期も違いますし、同じように風船蔓のような実を付けますが、‘風船’の色が違います。 そして、もう1本は自坊の前にある木。これは、1997年、ボクがEU主催の「ジャパン・フェスタ」の声明公演に参加した時、ギリシャのテッサロニキという町で拾った種から育てた木です。花期や種の形から見て、どうやら「モクゲンジ」のようですが、‘ギリシャ生まれ’というのがカッコイイでしょう?
冬至にはかぼちゃ。関西では夏至に蛸を食べる風習があるそうですが、食べたことはありません。蛸の八本足のように稲が深く根を張ることを願ってとのことだそうですが、それなら10本足のイカのほうがよさそうです。 昔ながらの時期に田植えをしている地方は雨不足で困っておられたと聞きますが、この雨で少し安堵されたのではないでしょうか? 同じように、紫陽花も活気を取り戻しました。でも、あまりに一気に降ったので、濡れた花の重みに絶えかねて、枝が折れそうになっている株もあります。 本堂裏の紫陽花園はまだ育成中なので、看板などは立てていませんが、時折、花の色を見つけて足を踏み入れる方もおられます。 鐘楼の周りは土の酸性度が高いのか、すべての花が青系。でも、かつて焼却炉の灰を捨てたり、防災工事で出た残土を捨てた本堂裏は、Phが微妙なのか、赤系や青系が混在していて、微妙にきれいです。「これはきれい!」と、先日、苦土石灰を鐘楼周りに撒いてみましたが、今さら変化はないでしょう。 紫陽花にはやはり雨が似合います。これからしばらくも、適当な間隔で適量な雨が降ってくれると、助かるのですが・・・。育成中の紫陽花園へも、どうぞお越しください。 紫 陽 花 を 挿 す 雨 粒 を そ の ま ま に 木内怜子
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