6/14版 




               人影の絶えない満開の菩提樹下       マウスを載せれば写真が変わります

 相変わらずのカラカラ天気。頼みにしていた台風も空振りで、観測データーの記録は「−」か「0.0」。雨量の「0.0」というのは、降ったには降ったけれど0.5mmに達しないということ。まぁ、降っていないということです。
 気温は、毎日30〜35度。35.9度という日もありました。真っ青な空が広がる、まるで盛夏のような日々です。
 この暑さにも負けず、梅雨の境内を代表する花、菩提樹がいま満開となっています。
 開花し始めたのは、前回のこのページの更新の日、6月7日。10日頃から見頃となって、今日は早く咲き出した花の色が少し変わってきたところ。でも、この調子なら、来週初めまでは楽しめそう。
 日頃からファンの多い菩提樹の花ですが、今年は11日に地元紙に載ったのとNHKで関西向けに紹介されたのとで、毎日たくさんの人が見に来られています。


             朝の青い光の中で… / 夕陽に赤らむ       マウスを載せれば写真が変わります
 風向きによっては、総門をくぐる前から、菩提樹の花の独特の甘い香りが漂ってきます。本堂の前で咲いている小さな花の香りが、そんなに離れたところまで漂うなどとは、ほとんどの人は想像できないでしょう。
 樹に近付いても、花の色が派手ではないので、花が咲いていることに気付かない人すらおられます。さらに近付いて樹下に入ると、何万という小さな花! その花の数に圧倒され、花に包まれているような感じさえ味わえます。
 満開の菩提樹がたくさんの人に愛でてもらえるのはとてもうれしいですが、新聞やテレビを見て来た人の中には、‘いつもの’菩提樹を愛する人とは違う人たちもいて、中には花をちぎったり枝を折ったりするような人、いつもながら傍若無人に写真を撮る人もいます。
 DJポリスに来てもらって、「花を盗ったりすれば、菩提樹鑑賞も後味の悪いものになってしまいます」と呼びかけて欲しいものです。




      菩   提   樹   の   花   の   樹   海   へ   蜂   放   つ          石昌子






          咲き始めた沙羅の花 / ここは酸性が強いなぁ    マウスを載せると写真が変わります
 本堂に向かって左側、菩提樹の反対側では、沙羅の花も咲き出しました。咲いてよし散ってよしの沙羅の花。例年は菩提樹が咲き終わってから咲き始めることが多いのですが、今年は一度に両方見られて幸運です。
 でも、まだわずかに咲いているだけなので、菩提樹に気を取られて、沙羅を見落としてしまう人も少なくありません。
 無憂樹、菩提樹、沙羅を仏教の「三聖樹」と呼びます。無憂樹は、お釈迦さまの生母摩耶夫人が手を触れた時にお釈迦さまが誕生された樹。菩提樹はお釈迦さまその樹下で悟りを開かれた樹。沙羅はガンジス川支流の沙羅樹の林の中で、釈尊が入滅された樹です。
 無憂樹はさておき、菩提樹も沙羅も、こうして本堂の前にありますが、実は両方共にインドのそれとは異なっています。‘本物’の菩提樹や沙羅、そして無憂樹も日本では育たないのです。そこで、葉っぱが少し似ていたり、朝咲いて夕方には落ちる儚さなどから、他の木を充たわけです。ほとんどの人は‘本物’と信じて疑わないわけですから、遠い昔にこれらの樹を選んで命名した人はよほど才があったのでしょう。
 さて、いつもなら生き生きとしている紫陽花ですが、さすがに今年は花も葉もうな垂れてしまっています。梅雨の時期に、水やりをしなければいけないなんて・・・。
 山紫陽花が終盤を迎え、これからはオーソドックスな紫陽花が見頃を迎えます。みずみずしく綺麗に咲くかどうかは雨次第。皆さんから挿し穂をいただいて、何年かかかってようやく今年初めて花を咲かせるものも少なくありません。
 どうか、雨が降ってくれますように・・・。




     よ  ろ  こ  び  は   い  つ  も  だ  し  ぬ  け   沙  羅  の  花        長崎小夜子