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今朝もひんやり。最低気温は3.5度。最高気温も14.8度で、3月下旬の気温でした。
境内のもみじの木は、おそらくはほとんどが自然交配。いま、バックヤードで育てている苗木も、すべて境内で採取してきた実生の株です。いろいろな個性が混じり合って、一様ではない景色を作り出してくれているのでしょう。 一早く花を咲かせていた「花の木」の梢には、柄が長く赤く大きな種が、もうびっしり付いています。 花の木は雌雄異株なので、種が付いているかどうかによって、雌雄がはっきり見分けられます。これも今だけのことです。 もうしばらくしたら、この種がクルクルと回りながら風に舞っている光景を見ることができます。実に愉快で綺麗な景色で、夕陽が当たる頃など何とも言えません。
梢をよく見ると、まだわずかながら散りそびれた花びらが残っていました。 もうすぐ頻りに降るようになる紅い蘂、顔を出し始めた緑の葉。散った後の桜も、なかなか面白いではありませんか。 もみじも桜も、厳しい冬を越して春を迎えましたが、‘春’を迎えられなかった枝や木もあります。今はその明暗がはっきりとわかる時期でもあります。 今日、腐った椎の枝の剪定作業に来ていた植木屋さんに、直径30センチ以上もあるもみじの木の伐採を依頼しました。もともとかなり弱っていた木でしたが、昨年の防災工事で根が傷んだのが致命的でした。 剪定しなければならない枝などは、太いもの細いもの無数にあります。生き延びたものだけが謳歌できるのが春だとも言えるでしょう。 蘂 の み の さ く ら と な り て 夕 日 透 く 能村登四郎
境内では様々な花が咲いています。山吹、椿、どうだんつつじ、馬酔木、白山吹、シャガ、れんげ、そして八重桜。新緑と合わさって、それぞれの花がなおいっそう美しく輝いて見えます。 鐘楼の周りでは、八重桜が5分咲ほどになってきました。重たく見えるほど花弁の重なったピンクの花です。 花の下に入ってみてもよし(ただし、下は墓地や紫陽花園ですので、通路だけに限ります)、鐘楼の基壇に上がって花に圧倒されてみるもよし。幸せな気分になること間違いありません。 ピンクは、人を若く見せるとか。一瞬の若返りのためにも、ぜひおいでください!
でも、育たずに枯れてしまうものも少なくありません。10年ほど前に植えました菊桃は、今、鮮やかな花を咲かせて人目を惹きつけています。樹勢が弱く、いつ枯れるだろうかと思いながらも、毎年咲いてくれます。 境内は日当たりや土質のよくないところも多く、元来が粘土質の赤土なので、水はけや通水性は最悪です。そこに、いろいろなものを植えようというのはチャレンジで、枯れてしまうものがあっても当然。でも、うまく育って、花が咲いた時はうれしさも一入です。 春はこの1年の成果が現れてくる季節です。子を見る親のような目で、毎日、境内を散策しています。 皆さんも、思い思いに春の境内をお楽しみください。 春 服 に き は ど き 色 を あ し ら ひ し 星野立子
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