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           光を集めて冬もみじ / 夕焼けに木の形も顕わ   マウスを載せれば写真が変わります

 とても寒い朝になりました。境内で氷が張るのは、今日が2回目。氷点下2度ぐらいだったでしょうか? まだ厳しい寒さに慣れていないので、指先などがこわばりました。
 大根炊きなど、京の師走の風物詩の光景がテレビから流れてきます。あっという間に紅葉の季節が過ぎ、師走ももう1週間が過ぎました。
 つい1週間前は人だらけだった境内も、今日は人影がまばら。ようやく、普段の真如堂が戻ってきました。
 思い返せば、今年の紅葉はずいぶん駆け足でした。例年よりも早く、いっそう綺麗に色付き、後半はお天気もよくない日が多くて、色付きもちょっと‘失速’し、早々と終わっていきました。訪れる人もそれに合わせるように増えて、そしてまばらになっていきました。
 わずかに残る紅葉が、日に照らされてとても綺麗です。こんな季節が大好き! ゆっくり愛でるといたしましょう。


             今が盛りかと錯覚しそうな紅葉       マウスを載せれば写真が変わります
 写真をご覧になった方は、「わぁー、まだこんなにきれいなの!」と驚かれるのではないでしょうか? きれいですよ!
 落ち葉の掃除などをしながら境内のもみじを眺めていると、日の差し方によって、息を呑むほどにきれいな時に出会えます。でも、雲が光を遮ると、一瞬にしてその景色は変わってしまいます。
 せかっくお越しになったのに、ほとんど何も残っていない木々を見て落胆されていた方が、わずかに残った、でも最高に輝いているその瞬間をご覧になって、「あ−、来てよかったぁ」と帰って行かれると、こちらもホッとします。
 毎日見ているボクでさえ、「この一瞬にここにいてよかった」と、その都度満足します。
 例年、ほぼ決まった木が、最後の最後まできれいな紅葉をピンポイントのように残しておいてくれます。本当に有り難いです。




     冬  紅  葉   冬  の  ひ  か  り  を  あ  つ  め  け  り          久保田万太郎






  こうして集められた落ち葉は → フレコンに入れて積み上げられます マウスを載せると写真が変わります
 いま、境内のあちことには吹き集められた落ち葉の‘山’があります。
 訪れる人が少なくなった今週から、本堂裏の垣根の中の敷きもみじなどの‘見どころ’はそのままに、本格的に落ち葉掃除を始めました。その量たるや、圧倒的です。
 まずはブロアで落ち葉を吹き集め、1メートル四方のフレキシブル・コンテナバッグに入れて、本堂の裏などに集積。ある程度溜まると、近くの総合支援学校にピストン運送して、畑の堆肥や茸の培地に使ってもらいます。
 かつては焼却していましたが、今は環境保護のために止め、また焼却場に持っていったこともありましたが、遠くて断念。総合支援学校との間に循環サイクルが出来て、本当に大助かりです。
 ブロアの作業を物珍しそうに見ている方や「この落ち葉はどうされるのですか?」と尋ねる人、せっかく集めた落ち葉を蹴散らして遊ぶ小学生の群れ。何だかほっこりする光景です。


       鮮やかなまま閉じ込められ / 美味しそうな千両の実  マウスを載せれば写真が変わります
 朝方ずいぶん冷えたので、「ひょっとしたら・・・」と蓮鉢を見に行ったら、氷の中に紅い葉が閉じ込められていました。演出したかのように、もみじと銀杏と桜の葉です。
 境内をグルッと歩いていると、寒椿や山茶花の花がとても綺麗に咲き、散っていました。落ち葉の蔭では、すみれの花を見つけました! 吉祥蘭も咲いています。
 自坊の千両の実のなんと鮮やかで艶やかなこと! これでは鳥が食べたくなっても罪に問えません。
 葉を落とした木々は、枝の形を顕わに見せてくれています。境内の色も緑から赤へ、そして次第にモノトーンの世界へ。季節の移ろいを実感します。これからしばらくは木々たちの冬の休息の時間です。
 美しいけれど喧噪の紅葉期。寒いけれど凛とした、心落ち着く季節がやってきます。
 皆さま、お風邪など召されませんように。




     掃   く   落   葉   掃   か   ぬ   落   葉   も   庭   の   も   の         稲畑汀子