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                 まだ静かな早朝の境内 / 秋の雲    マウスを載せれば写真が変わります

 「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉通り、暑さも控え目となって、朝夕は涼しいほどの日もあります。
 長かったですねぇ、今年の暑さ。北海道や東北では、8月下旬〜9月中旬、平均気温が平年を4・1度上回り、30年に1度以下の「異常気象」。まだ2週間程度は平年以上が続くそうです。大変!
 さて、お彼岸(お中日)は、太陽が真東から昇って真西に沈み、昼夜の長さが同じになります。仏教の「中道」という考え方や西には西方極楽浄土があるということなどから、阿弥陀如来を拝し、祖先をしのぶ日として定着していったようです。
 「今年のお彼岸はいつですか?」という問い合わせが何件かありました。秋分の日=お中日で、その前後3日間ずつがお彼岸。カレンダーを見ればわかるのですが、いつもは23日がお中日なのに、今年は22日。それで迷われたのでしょう。
 22日がお中日(秋分の日)になるのは、何と明治29年(1896)以来116年ぶり。23日がお中日(秋分の日)ではないのは、昭和54年(1979)の24日以来33年ぶりなのだそうです。
 昼間は少し暑かったですが、朝夕は涼しいお中日。人も車もいっぱいでした。
 これからは30度を越える日はなくなり、朝晩は涼しく、秋の深まりを実感できる日々でしょう。食べ物も美味しくて、困ってしまいますね!




      ひ  と  ご  ゑ  の  さ  ざ  な  み  め  け  る  秋  彼  岸         森 澄雄





            朝日に透ける彼岸花の茎 / 萩と藤袴       マウスを載せれば写真が変わります
 長崎から購入した球根の彼岸花が花盛りだと前回のこのページでお知らせしましたが、その花はほぼ終焉。400球ではやはり物足りないので、また500球ほどを追加しようと思います。
 わかりにくい写真ですが、今まで自生していた‘オリジナル’の彼岸花の花茎が、ようやく地面から顔を出して来ました。後は一気に延びて花を咲かせます。
 今年植えたものとは違い、凛として、品格が感じられます。数本まとまって出てくるのも、それだけ球根が増えているということですから、年月を感じます。
 木を植えても、剪定をしても、そこに自然の力が加わって初めて、いや自然の力を端から見込んでいろいろな手入れをするわけです。自然の力と人間ではまるでランクが違います。
 彼岸に忘れてはならないのは、萩。同じ菓子を呼ぶにも、春のお彼岸にはぼた餅(牡丹)、秋はおはぎ(萩)。今は年中「おはぎ」で通すお店が多いようですが、ぼた餅というと何だか大きそうな、おはぎと呼ぶと少し上品そうな気がします。
 小豆の赤色の、邪気を払う食べ物としての信仰が、先祖の供養と結びついたもののようですが、こういう意味の食べ物では小豆の独壇場ですね。
 萩の花は今が見頃です。


               十月桜、咲く / 静かに咲く藤袴      マウスを載せると写真が変わります
 狂い咲きではありません。自坊の「十月桜」、10月頃から4月まで咲き続ける不断桜です。山桜と大島桜の交雑種で、小振りで白い可愛い花です。
 1週間ほど前から咲き始め、だんだん花数が増えてきましたが、あまり目立ちません。
 彼岸花もそうですが、この花も今頃になるとちゃんと咲き出します。どうやってスケジュール管理をしているのでしょう?
 さて、藤袴も見頃となってきました。今年の出来は上々です。
 側を通ると、ふわーっと香りがしてくる時があります。平安時代の女性たちは乾燥させたものを香袋に入れて十二単にしのばせていたなどと聞きますが、それほど匂い立つわけではありません。強い香りに慣れた現代人からすると、少し頼りないかも知れません。「藤袴の間を吹いてきた風に当たりたい」そう思わせる、やさしい、どことなくのどかな香りです。
 酔芙蓉、木槿なども咲いています。秋深まる境内を、ぶらっと一回りなさってみてください。




   秋 の 野 に  に ほ ひ て 咲 け る 藤 袴  折 り て お く ら ん  其 の 人 な し に     良寛