8/24版
朝のうちは真夏のようなお天気。午後になると、にわかに黒雲が出てきて雷鳴が轟き、傘をさしていても濡れるような雨が降る。ここ数日はそんなお天気が続いていました。
枝先が色付いてきたもみじなどが見られますが、これはいつもご説明申し上げているように木が弱っている兆候で、秋の訪れとは言えません。 わかりやすいのは木の実。先日、大文字山を歩いていたら、青い栗のいががあちこちに落ちていました。自坊にあるモクゲンジは、さかんに風船蔓のような実を落とすようになってきました。「実りの秋」の先駆けでしょうか? 今日24日はお地蔵さまの縁日で、朝、真如堂一山の僧侶が境内にある地蔵尊などを拝んで回りました。 その時、本堂の南側にある石仏が雛壇に並べられた「万霊塔」もお参りしたのですが、読経の途中、その上に大きな枝を張り出しているマテバシイの不調に気が付きました。葉の多くが茶色くなっているのです。 午後、たまたま植木屋さんが来たので、「マテバシイが変だから、見て来てください」と頼むと、植木屋さんは肩を落として帰って来て、「ナラ枯れです」とポツリと言いました。 その言葉にボクも絶句。マテバシイは、毎秋ボクが楽しみに拾っている「大砲どんぐり」に他なりません。 後から見に行くと、大木の下が薄茶色くなるほど虫の食い散らかした木の粉が落ちていました。そしてその近くには、まだ半分青さが残っている大砲どんぐりが落ちていました。熟し切って落ちたのではありません。 子供の頃からずっと拾い続けてきたどんぐり。「来年はもう拾えないなぁ・・・」。そう思うと、とてもさみしい秋の実りでした。
正面参道脇の百日紅の老木が、幹も縦に割れて、植木屋さんも見放した状態であることは昨年も書いたかと思いますが、今年はもう花も咲かないだろうと諦めていました。 ところが、1週間ほど前から開花し、今しばらくが盛りとなっています。花の数も少なく、幹も痛々しいですが、実に綺麗です。 「今年で最後だろうか・・・」「有終の美かな?」と思うとさみしくなってしまいますが、自分の命が絶えるほうが早いかも知れません。そう思うと、お互いに限りのある身であることを妙に実感したりします。 さてさて、自坊の庭の萩の花が咲き始めました。宮城野萩でしょうか? さすがに萩の花が咲き出すと、秋を意識します。 秋といえば、今日、職員さんが「明日、たぶん藤袴が咲きますよ」と教えてくれました。「まさか、そんなに早く・・・」と思って見に行くと、確かにそれに近い状況になりそうな感じ。 そういえば、去年の8月末に槍ヶ岳から新穂高に降りる川沿いに、たくさんの藤袴が咲いているのを見ました。秋の訪れの早い高冷地と京都とは花期はずいぶんと違いますが、兆候ぐらいあってもいいかも知れません。 萩に藤袴、共に秋の七草。確実に秋は近づいてきているのですね。
「玉紫陽花」という種類で、自坊の庭で毎年今頃咲きます。 京都で見ることは稀で、福島県南部以西、関東、中部、岐阜県までが分布域とか。この株は、千葉県の笠森寺から分けていただいたもので、もう30年以上毎年咲いているでしょうか。 蕾が丸く玉のようなところからその名がありますが、学名は Hydrangea involucrata Siebold。あのシーボルトによって初めて世界に公式発表されたそうです。 玉紫陽花の花は一斉に開花するのではなく、大きくなった蕾から順番に開花するので、比較的長い期間にわたって花が見られます。ただし、自坊の庭の中なので・・・。 一所懸命、秋を拾ってみましたが、現実はまだまだ暑い日が続きます。皆さん、どうかご自愛ください。 鬼 灯 の 熟 れ て 袋 の な か 祭 檜 紀代
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