8/2版 




            夏の空、夏の雲 / 菩提樹の木陰は涼し    マウスを載せれば写真が変わります

 今日も暑い暑い日となりました。空はまったくの夏色。
 日の光を遮るもののないところでは長い間立っていられません。すべてのものを焼き尽くさんばかりの強烈な日差しが、1日中、勢いを休めることなく照りつけました。
 雨は先月25日以降は1滴も降らず、地面はカラカラに乾いて、土ぼこりが舞いそうです。
 でも、今日は湿度が低く、風もあって、木陰にいると、とてもいい気持ちでした。
 話は逸れますが、「木陰」というと、ボクは決まってお釈迦さまの逸話を思い出します。
 お釈迦さまは釈迦族という王家の出身ですが、その国が近くの大国に攻め込まれようとした時、お釈迦さまはその軍隊が通る道沿いの枯れ木の下に座られました。敵王はこれを見て、「世尊よ、どうして枯れ木の下に坐しておられるのか?」と尋ねると、お釈迦さまは「我が親族の木陰は涼しい」とお答えになったといいます。その木は釈迦族を象徴するニグローダ樹でした。お釈迦さまは枯れたその木に釈迦国の悲しい運命を見ておられたのです。敵王は3度出陣しましたが、3度ともそこに釈尊の姿を見出して引き返しました。しかし、4度目にはそこに釈尊はおられませんでした。滅ぶべき因縁にあるものは、もはや何を以てしても止めようがないからです。「仏の顔も3度まで」はここから出たといいます。
 本堂前の菩提樹の木陰にいると涼しくて、ゴザでも敷いて寝転びたくなりました。「木陰は涼しい・・・」。


         誰もいない書院の座敷 / 左側を歩きましょう!   マウスを載せれば写真が変わります
 境内を行き交う人の姿はほとんどありません。
 「こんな日には、きっと拝観にお越しになる方はおられないでしょう」と話していたら、夏休みということもあってか、涼を求めてか、少しはおいでくださいました。今日の拝観者数は1桁。暑い中、本当にようこそお越しくださいました。
 書院の「涅槃の庭」を前に座っていると、これまたいい気持ち。大文字山も今日はよく見えました。16日にはあそこに送り火が灯されます。
 ここでもまたゴロンと横たわりたい気分。こう暑いと、活動しようという気を削がれます。
 もう一つの「随縁の庭」は白砂の照り返しが強くて、目にも眩しいくらいでした。




     炎   天   を   来   て    炎   天   を   振   り   む   く   子          金田咲子





        ヘブンの露払い? / 萎れる紫陽花葉と空蝉     マウスを載せると写真が変わります
 毎朝、茶所前の朝顔を見に行くのが日課になっていて、咲き具合を見ては一喜一憂しています。
 ヘブンリーブルーの種しか蒔いていないのに、中に普通の朝顔が1本交ざっていたようで、数日前から日に数輪花を咲かせるようになってきました。
 肝心のヘブンは、あまりもの暑さに咲き控えているのか、今日は1輪も咲きませんでした。花のピークは10月ですから、まだ咲かなくても案じる必要はないでしょう。
 蝉もよく鳴いています。
 蝉取りをしていた親子連れに、「捕れましたか?」と尋ねると、クマ蝉ばかりの籠を見せてくれました。ボクたちの子供の頃は、クマ蝉が捕れるとうれしかったものですが、今はアブラ蝉のほうが珍しいぐらい。熱帯化を如実に感じる現象です。
 でも、今年は蝉の声が「うるさい」とまでは思いません。蝉が少ないのか、耳が遠くなったのか、どっちでしょう?
 今年整備した本堂裏の紫陽花園の株たちは雨を欲しがっていましたが、葉や茎に留まったまま動かない蝉の抜け殻をたくさん見つけました。紫陽花園は蝉の繁殖場にもなりそうです。


           散り始めた4日目の蓮/ 花果同時       マウスを載せれば写真が変わります
 自坊の蓮は、今年は葉も小さく、花は3輪しか咲きませんでした。ボウフラ避けに鉢に入れたメダカに遠慮して、肥料を与えなかったのが原因です。
 たとえ3輪でも、咲く度にその美しさには、一々感動させられました。暑い中に、どうしてあんなに大きくて清浄な花を咲かせることができるのでしょう? 自然って、本当にすごいですねぇ。
 さて、いま盛りなのは木槿です。でも、こう暑いと、木槿の花も気の毒です。
 いま、木槿を植えている総門内の場所は、土も悪く、乾燥しがちです。それでも、あんなにきれいな花を咲かせてくれるのですから、蓮花と同じく、感謝の限りです。
 こんなに暑くてもいろいろな花が咲いています。人と同じく、暑いのが苦手な植物もあれば、大好きなものもあるようです。
 暑くても木陰はいいですよぅー 経口補水液を片手に、どうぞご散策ください!




     蓮   散   華    美   し   き   も   の   ま   た   壊   る          橋本多佳子