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                    新緑に浸かる         マウスを載せれば写真が変わります

 気候が安定せず、暑くなったり、ヒンヤリしたり。おまけに、全国各地で大雨。「せっかくの連休なのに・・・」とお嘆きの方も多いのではないでしょうか?
 今日も、晴れて青空が広がったかと思えば、また時雨れてきたり。本格的な雨にはなりませんでしたが、空模様が心配な1日でした。
 「五月晴れ」といわれるように、5月はお天気の日が多いはず。統計をみても、8月の次に日照時間が多いのは5月です。こんなに不順な天気は当て外れです(「さつき晴れ」は、本来は旧暦の5月の、梅雨の合間の晴れをいう言葉のようですが)。
 でも、さすがに連休ですね。普段の境内よりも訪れる人がずっと多目。ほとんどの方は、気楽に散策を楽しまれている様子でした。


      落ち葉と新緑の参道 / 先週とは色が変わった新緑    マウスを載せれば写真が変わります
 新緑の色は、先週と比べてもずいぶん変わりました。緑は少し濃くなり、若干黄色っぽい新芽も葉が広がるにつれて緑になり、先週よりも「緑一色」感が増しました。
 また、今の境内はあっという間に落ち葉だらけになります。
 「落ち葉って、秋でしょう?」と思われるかも知れません。落葉樹は寒くなると葉を落とし、春になると新芽を吹きますが、樫や楠など常緑樹の多くも、やはり今の季節に新芽を出します。その代わりに古い葉が落ちるのです。
 正面参道の石段の一番下には楠が生えていて、今はしきりに古い葉を降らせます。その量は並大抵ではありません。
 カサコソと落ち葉を踏みながら新緑の道を歩くわけですが、ほとんどの人は落ち葉のことは気にも留めておられない様子。春の落ち葉は感傷を誘わず、皆さん、鮮やかな新緑に釘付けです。
 木々の生き様を五感に感じながら歩くと、新緑や落ち葉、木々のすべてが愛おしく思えてきます。




     夏   落   葉     有   髪   も   禿   頭   も   ゆ   く   よ          金子兜太






       駐車場脇の平戸つつじ / 書院の灯籠とつつじ     マウスを載せると写真が変わります
 桜の花が終わったこの時期の花といえば、たくさんありますが、賑やかさでいうのならば躑躅でしょうね。住宅街などでは、モッコウバラがたくさんの花を咲かせています。
 今日、カーラジオで聞いた番組でも、皐月や躑躅の名所を紹介していました。圓通寺、妙満寺、長岡天満宮・・・。
 境内にはそんなにたくさんの皐月や躑躅はありませんが、あちらこちらで新緑にアクセントを添えています。近づくと、甘い香りもしています。
 書院の庭園でも、霧島つつじ系の木が見頃を迎えています。わずかに1本ですが、土塀と石灯籠との組み合わせがいいですねぇ。
 この石灯籠は「燈明寺型」と呼ばれる石灯籠で、鎌倉時代末期のもの。
 燈明寺は、京都と奈良の境界あたりに、行基によって建てられたという寺で、幾度もの再建・荒廃を繰り返した後、近世になって、横浜三渓園で本堂や三重塔が再建されました。
 灯籠は、三井家が所有されていましたが、昭和60年、真如堂に寄進されました。多くの模造品が造られましたが、これが本歌(オリジナル)です。



  言葉を失う姫シャガの美しさ / こぼれんがばかりに咲く卯の花 マウスを載せれば写真が変わります
 書院繋がりで、もう1枚。こちらは姫シャガです。
 すっかり雰囲気に溶け込んでいますが、実は去年植えたばかりで、今年が2回目の開花。とても魅力的な花です。
 ボクが「あっ、これいいなぁ。これがあの庭に咲いていたら・・・」と思った草や木を入手して庭や境内に植えるものですから、庭を手入れする植木屋さんは困っているかも知れません。‘仁義’を守って、庭には草しか植えないようにしていますが・・・。
 拝観に来られた方が、「わぁー、かわいい! これ、なんていう花ですか?」と説明係の職員さんに聞いておられるのを襖の陰から聞きながら、「やったぁ!」と秘かに手を打っています。
 卯の花もまだ植えて2年目なので、まだまだ小さいですが、本堂の周りで目立つことなく咲いています。この写真は自坊の卯の花で、垣根の一部に咲いているものです。
 「卯の花」「垣根」と言えば、自然に口ずさむあの曲! ♪ 卯の花の 匂う垣根に時鳥 早も来鳴きて 忍音もらす 夏は来ぬ ♪
 『夏は来ぬ』  そう、明日は立夏です!




     押  し  あ  う  て   又  卯  の  花  の  咲  き  こ  ぼ  れ          正岡子規