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       目まぐるしく変わる空模様 / 苔の緑、日々に鮮やか   マウスを載せれば写真が変わります

 晴れたり曇ったり、時には時雨れたりと、空模様の定まらない1日でした。まるで冬と春がせめぎ合いをしているようで、本格的な春が近いことを感じました。
 ここ数日、毎日鴬の鳴く声を聞きます。「あれっ?」としばらく頭の中で考えてから、「あっ、鴬だ」とわかるような、まだ本当に下手な鳴き方です。鴬の鳴き声は春を実感する大きな出来事の一つです。
 6日には最高気温が18.8度まで上がりましたが、その後はまた下がって、今日は10.9度と2月下旬並みに逆戻り。会う人、会う人、「まだお彼岸じゃないですから」「お水取りもまだですから」と、寒さが戻るのは計算済み。
 境内にお越しになる方は、大涅槃図の特別拝観中ということもあっていつもよりも多く、今日の拝観者は100人程度。真如堂では、紅葉期に次ぐ拝観者数です。
 でも、紅葉期のようにざわつく感じはまったくありません。空気も少し冷たく澄んで、気持ちの安らぐ浅春の境内です。


         自室にて一輪挿しにしたい衝動に駆られる椿       マウスを載せれば写真が変わります
 境内全体の雰囲気はそれほど変わっていませんが、ここ1週間でずいぶん‘動いた’ものがありました。椿の開花です。
 境内のあちこちに植わっている椿が、順次咲き始めてきました。
 去年、本堂の南側の土手を椿だらけにしようと思って植えた「太郎冠者」という椿も、数日前から咲き始めました。
 太郎冠者は、織田信長の弟で茶人としても知られる有楽斎(5147〜1622)が好んだことでも知られ、別名「有楽(うらく)」。定植後初めての開花ですから、とてもうれしく、可愛いピンクの花がなおさら可愛く見えます。
 自坊の「胡蝶侘助」も咲き出しました。艶やかな太郎冠者とはまた違った、清楚な可愛さです。
 この木は、ビニロンの発明者で、日本の高分子化学の先駆者である桜田一郎氏から寄贈されたもので、自坊きっての名木です。
 次々と色や形の違う椿が咲いてくるのがうれしく、楽しく、先日、椿専門の苗木屋さんから10数本の幼木をネット通販で買い求めました。10年経てば木も大きくなって、本堂南側の土手ではいろいろな椿の花が見られるでしょう。春の訪れが、またいっそう楽しみになります。




   燃  や   す   べ   き   今   日   の   心   や   椿   燃   ゆ         上野 泰






         もうすぐ開花、山茱萸の花 / 今が見頃の馬酔木の花  マウスを載せると写真が変わります
 本堂裏の山茱萸(さんしゅゆ)の花から黄色い花色が見えるようになってきました。
 いつも彼岸には見頃になるのですが、梅などの開花が遅れている今年は山茱萸も遅いかも知れないと案じていました。この分なら、彼岸の中日頃には見頃になっているでしょう。墓参の折にこの花を見るのを楽しみにしている人もおられるので、一安心です。
 ただ・・・写真の撮りづらい花です。
 馬酔木の花が満開になってきました。この花も小さく、遠くから写真に撮ってもよくわからないことがありますが、満開になってきた今日は大丈夫です。
 拝観に来られた方に、「あちらに馬酔木の花が咲いています」と説明しても「わぁー!」と感動される方もありません。静かでおとなしい印象の花ですね。


      花を想像するだけでも楽しい紅梅/ 地のすみれも満開   マウスを載せれば写真が変わります
 元三大師堂前の紅梅の蕾が膨らんできました。真紅の鮮やかな蕾です。
 昨年、‘本物の’植木屋さんに剪定してもらい、たくさんの枝が出たので、今年は花数も多そうです。開花は昨年比2週間遅れぐらいになりそうです。
 梅や他の花も今年は開花が遅れていますが、桜はこの先は寒波の影響も徐々に薄れ、暖かい日が続くようになって気温も平年並みに近づく見込みなので、開花は3月30〜31日頃、満開が4月7日頃と、ほぼ平年並みの予想になってきました。もうしばらくすれば、どんどん蕾が膨らんでいくでしょう。
 明日は東日本大震災から1年目。お亡くなりになった方のご冥福をお祈り申し上げ、今なお辛い思いをされている方々に心より御見舞い申し上げます。
 テレビでは1年前の光景が繰り返し流れています。ご覧になって辛くなった方は、お花の写真でどうかお気持ちを安らげてください。




     紅   梅   の   満   を   持   し   を   る   蕾   か   な          下村梅子