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                 あたたかい日差しのさす境内       マウスを載せれば写真が変わります

 今日は上巳の節句。
 ♪ お花をあげましょ、桃の花 ♪というものの、桃の花はまだ咲いていません。今日は旧暦では、まだ2月11日ですもの。
 それでも、一気に春めいてきました! 風はありましたが、日差しはとてもあたたかく、こんな日にガラス戸の中の日の当たる縁側にいたら、うたた寝を我慢できる人はいないと思うほど。
 空の色も、木々の色も、苔の色も、みな今までとは違って見えます。
 人の行動は正直なもので、同じようにあたたかい日が2月にもありましたが、3月に入っただけで、境内を歩いておられる人の数は、2月とは格段に違いました。
 でも、ほとんどの人の服装はまだ冬のまま。おしゃれにスプリングコートなどを着ている人はほとんどおられません。今日のあたたかさを信用されてないのでしょうか?
 お彼岸はもちろんですが、関西では「奈良のお水取り」「比良の八講」などが、寒さが逆戻りしない一つの目安です。それまでは、また寒さがぶり返すかも知れませんね。
 5日は「啓蟄」です。


     心なしか、苔の緑が春色 / 種が着いたままのもみじ   マウスを載せれば写真が変わります
 今日も境内を一回り、二回り。「何か春の兆しはないかなぁ〜」とキョロキョロしながら歩きました。
 鳥の声も春らしくなってきました。今日はコゲラのドラミングの音も聞こえてきたそうですよ。
 山茱萸の蕾はまだ固く、椿などもまだあまり咲いていません。馬酔木は先週とそれほど変わりません。植物が爆発的に動くには、もう少し時間が掛かりそうです。
 「春はどこかな?」と探し求めて歩いている時は、ワクワクします。
 『どこかで春が』という歌に「どこかで芽の出る音がする」という一節があります。「芽の出る音」が実際にするわけではありませんが、冬の間に溜め込んでいたものが春になって一気に弾けて開花する姿を彷彿とさせます。
 「山の三月 東風(こち)ふいて」。早春の風は東風。日本へ寒気を送っていたシベリア寒気団が衰えると、太平洋側から東よりの風が吹くようになるのだそうです。今日は北西の風、まだ冬の風でした。
 日差しはすっかり春で、風には冬が居残っている。そんなない交ぜを繰り返しながら、日一日と春は進んでいます。




    山   路   来   て   何   や   ら   ゆ   か   し   す   み   れ   草          松尾芭蕉






               魅了され、釈尊偲ぶ、大涅槃図      マウスを載せると写真が変わります
 本堂では大涅槃図の特別公開が始まっています。
 昨年、大修理を終えた涅槃図は、本当にきれいです。古びた中にも驚くほど色鮮やかで、何度見ても魅了されます。
 この特別公開を目当てに来られる方も多く、今日の拝観者は80人程度。特段大きな数字ではありませんが、極寒期などには拝観者「0」という日もあり、落胆するも甚だしいことのあった後、「80」は説明のし甲斐もある嬉しい数でした。
 今年は、絵葉書とB5判の額入り写真を御参拝記念グッズとして新たに作りました。共に‘手仕事’ですがなかなかの出来映えだと‘一部’で評判です。
 公開は4月1日まで。例年通り、「花供曽」付きです!


       色鮮やかな紅梅/ 背景の紅梅に負けじと椿咲く   マウスを載せれば写真が変わります
 遅れていた梅の花が、ようやく見頃になってきました。
 早咲きの紅梅がグズグズしている間に白梅が追い上げ、紅白共にきれいに咲いています。
 あったかくなってから咲く桜とは違い、少し寒さをこらえながら見る梅の花は、何となく凛としています。
 まだ‘色’の少ない境内にあって、この‘紅’はかなり目立ちます。それに惹かれてズカズカと立ち入られては困ります。梅の樹下あたりには、昨年蒔いたレンゲやシロツメグサの若芽がいっぱい出ていて、それが咲くのをボクは心待ちにしています。
 春は、今まで仕掛けてきたことの成果が目白押しで見られます。‘仕掛け人’にしかわからない楽しみですが、上手くいけば、やがてお越しになった方々の目を楽しませてくれるでしょう。あそこも、ここも・・・。
 冬は例年よりも寒かったですが、春は逆に少し暖かめになりそうですね。お天気が安定しません。体調を崩されませんように・・・。




    紅   白   に   空   を   分   か   ち   て   梅   ひ   ら   く        高橋悦男