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                 日向ぼっこする老婆と猫       マウスを載せれば写真が変わります

 最高気温12.7度のあたたかい日となりました。あたたかいはずです。12.7度は3月11日の平年値。
 ちょっと寒いですが、昼間は暖房をつけず過ごせました。日の当たる部屋なら、きっとポカポカだったでしょう。
 墓所に行っても、日差しがあたたかく、気持ちいいぐらい。あたたかさに騙されて出てくる虫もいそうです。
 折角、春の日差しが降り注いでいるのに、境内を訪れる人はほとんどおられません。
 おばあさんが、石の上に座って日向ぼっこ。体はあたたかいでしょうが、まだ石は冷たく、お尻が冷えたに違いありません。
 猫が夕陽を浴びて目を細めていました。日向ぼっこする猫を見るのも久しぶりです。
 寒さが厳しいためか、防災工事で騒がしいためか、しばらくの間、猫たちはほとんど姿を見せません。一番古株の‘ミーコ’は、隣家でご飯をもらっていたそうですが、そこにも来なくなったのだと、猫に詳しい職員さんが心配顔で話していました。


   右の高い山が比叡山。一番左の低山に「法」 / お決まりの一枚 マウスを載せれば写真が変わります
 先日来、数日にわたってチェーンソーの音が聞こえてきていました。境内ではありません。
 遠くから聞こえてくるチェーンソーの音は、大文字山などのカシノナガキクイムシという虫がもたらしたナラ枯れ木の伐採作業。数ヶ月にわたって、ずっと聞こえてきます。
 音の出所は境内の北側。「どこだろう?」と探したら、隣接する民家の庭などに生えていた大きな桧の伐採作業の音でした。後からその家の人に聞いたところによると、中が腐って空洞になっていたことが切ってみてわかったそうです。あぶなかったですねぇ。
 この桧がなくなったお陰で、比叡山が真如山荘から真正面に見えるようになりました。今まで、ちょうど比叡山だけ見えなかったのです。
 五山の送り火の「妙法」の「法」も見えます。絶景かな、絶景かな。




    春   め   く   と    春   め   く   や   う   な   声   で   言   ふ         鷹羽狩行






          日だまりの樒の花 / 赤いもちの実と塔     マウスを載せると写真が変わります
 「吉祥院さんの庭で、樒の花が咲いていますよ。ご存知ですか?」と、よく散歩をされているご婦人が教えてくださいました。
 もちろん知っています・・・。門の内まで、何が咲いているか観察してくださってアリガトウ。
 毒のある「悪しき実」から「シキミ」と呼ばれるようになったという説もありますが、その‘悪性’が嘘のように、ひっそりと静かに咲いています。
 墓所の脇では、モチノキの赤い実が際立っていました。遠くからでもよくわかる、真っ赤な実。晴天の日には、艶のある葉っぱも光ってなおさらきれいです。
 こんなに目立っているのに、この木に実がなっているのを初めて見た気がします。
 子供の頃、この木の仲間の皮で‘鳥もち’を作って雀を捕ったことがあります。羽根がネバネバになって可哀想なことをしてしまいました。今はそんなことができる木だと知る人も少なくなりました。


       ちらほら紅梅と塔/ 日を透かして見る馬酔木の花   マウスを載せれば写真が変わります
 梅の開花が全国的に遅れて、「梅まつり」などのイベントが日程を遅らせたりしているというニュースをテレビで見ました。明日は、梅の名所である北野天満宮の梅花祭ですが、梅苑の入り口には「ちらほら咲き」という張り紙がしてあるようです。
 自坊前の紅梅も、開花がなかなか進みません。今日、白梅がようやく数輪咲いているのを見つけました。こんなに遅い開花は記憶にありません。
 馬酔木も少し咲き進んできました。もともとあまり目立たない花なので、満開になってもそれほどの存在感はありません。今はまだ0.5分程度。どこに咲いているか、わからないくらいです。
 来週半ばからはもう3月。本堂では大涅槃図の特別公開も始まります。
 春の気配が少しずつ深まる境内。木々たちが、いつ花を咲かせようか、いつ芽を出そうかと、様子をうかがう季節がやってきます。
 境内は防災工事の穴ぼこだらけですし、花粉も飛び始めているようですので、どうぞお気を付けてお越しください。




    紅   梅   を   覚   え   て   ま   す   か    あ   の   と   き   の          中原幸子